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戸惑い
【幼馴染 官能小説】

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戸惑い-1

北風も厳しい今年の冬。あたしは成人を迎えた。って言っても長期休暇以外は東京で大学生してるから、地元の神戸の成人式には出れんかったけど。
キレイに着物で着飾って、みんなと一緒に式に出たかったわ。で、写真なんか撮っちゃったりして。やっぱ記念やしなー…
小春日和の中、地元の駅に降り立ってそんなことを考えながら実家までの道を歩いていた。

「おい!リン!」

リン?あ、そうそう、あたしは中原鈴。ほんとは“すず”なんやけど、どっかの誰かだけはあたしを“リン”呼ばわりするねん。
ん?ってことは…?

「あっ、昂太(こうた)!今更来たって遅いわ!」

声の主は白石昂太。あたしの幼なじみ。ほんとは駅まで迎えに来る予定だったのだ。

「ごめんって。ほら、見てのとおり道が混んでてんよ」
「あら、ほんまによう混んでること」
「う…申し訳ない…せめてお荷物お持ちいたします」「よろしい。大事に持ちや」

二月某日。あたしは春休みで神戸に帰ってきた。東京に戻るんは三月の終わり頃。たっぷり地元を満喫できる。

「ただいまー!」
「鈴、おかえり」

奥からお母さんが柔和な笑顔を浮かべながら出てくる。あー…やっぱり家はいいな。お父さんも弟の駿(しゅん)も早く帰ってくるやろうし、今日は家族団欒して…

「って、なんであんたまでうちのコタツに入ってんねん!」
「なんや、俺ら家族みたいなもんやろ?気にしたら負けやで」
「あんたは他人や!た・に・ん!」

すると昂太はおもむろにコタツを抜け出し台所へ…

「リンがいじめるー!」

昂太はお母さんにすがりつく。お得意の泣き付くマネだ。

「あらあら、困った子やねぇ」

お母さんは昂太の頭をよしよしする。    

「甘やかすなー!!」

あたしのツッコミが入ったのは言うまでもない。

この日は鍋やった。やっぱ冬に鍋ってのはいいもんやね。ただ、あたしの隣で昂太も鍋をつついてたんだけが気になったけど。
おなか一杯になったら眠くなったらしくて昂太は家に帰ってった。まるでお子ちゃまやな。

―チャポン…―

「ふぅ〜…」

広いお風呂最高!東京のアパートはユニットバスやから窮屈で仕方ない。
それにしても。
昂太、大人っぽくなったなぁ。会うのは夏以来やけど、ちょっと見ない間にも随分変わるもんなんやな。
バスケやってるせいか、なんかガッチリした体格になってきたみたい…

「…アホらし。あがろ」

あかん、疲れてんのかな。なんでお風呂というリラックスタイムまで昂太のこと考えなあかんねん。
…今日は早く寝よ。

スウェットに身を包み、二階にある自分の部屋へと向かう。

「さむっ!暖房暖房…」

ん?
ケータイがチカチカ光っている。メールのようだ。ディスプレイを見ると…

「あ、シンちゃん…」

シンちゃん。名前は宮田慎太郎。同じ大学の一つ上。あたしの…彼氏。

『無事に着いた?鈴に会えないのは寂しいけど、メールとか電話いっぱいしような!』

思わず顔がにやけるあたし。
あかん、しっかりせな。意味なく気合いを入れたところでメールを返そうとした、その時。

―コンコン―

はぁ〜…
わざとらしくため息をつきながらあたしは窓をあける。

「あんた寝たんと違ったん?なんの用よ?」

皆さんのご想像通り、窓を叩いたのは昂太。
さすがに手が届く程部屋が近いわけじゃないから昂太の右手には孫の手が握られている。

「おまえ何にやけとんねん。丸見えやぞ…っておい!」
「は?今度は何よ?」
「…おまえは俺を誘惑しとんのか…」
「は?だから何…」

……っ!!!
しまった!ついいつもの癖でブラ忘れとった!
意識し始めたことで二つの突起がさらに主張し始める。

「そっ、それじゃ!」

あかん!恥ずかしい!慌てて窓を閉めようと桟に手をかけた時。

―ドサッ!―

「ぎゃぁ!」
「おまえなー…もうちょい女らしい声だせや」
「ちょっ…どいて!重いわ!」

昂太があたしの上に馬乗りになっている。
そう、やつは窓を飛び越えてきた。昔からやるな言うてんのに聞きく耳持たへん。

「昂太!?聞こえへんの!?どーいーて!」

いつもは一回言ったら素直に退く。
でも今日は違った。


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