『マニラバ!‐3.5』-1
いつからかと聞かれると、それはわからない。
どこがと聞かれても、またそれもわからない。
気が付いたら好きになってたんだ。俺のなかの特別になってたんだ――。
クラスの野郎達はみんな、あいつと付き合えるヤツはきっとすごいヤツだ――
あいつについていけるヤツはいない――
黙ってじっとしてたらいいのにな――
そんな風に言う。
だからといって嫌われてるわけではない。どっちかっていうと好かれてる。みんなあいつのことが好きだ。ただ‥恋愛感情は全くなく。あの騒々しくて、落ち着きなくて、女捨ててて、色気なんかこれっぽっちもなく‥――まぁこれ以上言うとあれなんで…。
とにかく!
あいつと付き合う度胸なんてない、恐れ多い‥そんな感じだ。
そんな恐れ多い相手『舞』を恋愛の対象として見ているマニアックなヤツは、きっと俺くらいだろう。
別にどーこーなりたいわけではない。気持ちを伝えるつもりもない。今みたいに一緒にいられたらいい。他のヤツらよりチョット近い存在でいられたらいい。
そう思っていたんだ。
もう一人のマニアックなヤツが現れるまでは――。
俺にはそんな顔見せないくせに‥あいつにだけ‥見せんなよ――‥!
「いい気になってんじゃねえの――」
俺はひどいことを言ってしまった。
ただのヤキモチだ‥
真っ赤な顔して照れてる舞なんて見たことなかった。あの男が、藤堂が、うらやましかった。
あやまんなきゃ‥
放課後、舞を呼び止めようとした。だけどあいつが来た。
またかよ‥
あれ?なんか、いつもと違う‥
あっ!
ふん!舞のやつ、イヤって言ったんだ。走って逃げたってわけか――。
「誰?アンタ。」
舞の走っていく姿を見ていて気付かなかったけど、藤堂がこっちを振りかえっていた。
別に対抗しようと思ったわけではない。
「舞と同じクラスの、近藤リョウです。」
勝手に口が動いていた。
「‥舞、嫌がってるの気付かないっすか。いい加減、あきらめたらどうですか」
「なんで君にそんなこと言われなきゃいけないの」
ただ意地を張っりたかっただけだ。だけど…