誘惑2 〜Boy Friend〜-5
……しばらくして、翔太が呻く。
「ごめっ……久しぶり、だから……もうっ……!」
ぐちゅん!
翔太が一気に沈んで来た。
「―――!」
その瞬間、意識が飛んで……。
気が付いたら、朝だった。
「???」
何が何だか訳が分からなくて、私は呆然としていた。
え〜と、あぅ……?
翔太と仲直りエッチして、それから……?
……記憶がない。
「ん……」
隣で何かが、もぞもぞと動いた。
「翔太……」
思わず出した声が、耳に届いたらしい。
ぱっちりと、翔太が目を開いた。
「あ……気が付いた?」
開口一番、翔太が言う。
「櫻が初めて本番でイッてくれるなんて……新年早々いい事あったよ」
あ……ああ。
そういう事か。
「あ。新年明けまして、おめでとうございます」
ベッドの上に正座して、翔太は言う。
「あ……おめでとうございます」
私も正座して、挨拶を返す。
何故だか急に、おかしくなって……私達は同時に吹き出した。
翔太が私を引き寄せて、囁く。
「今年もよろしくお願いします」
「こ……」
言わないうちに、キスで口を塞がれる。
ぬるっ
……ディープな方だよ馬鹿野郎。
「っぷ……!」
私は翔太の二の腕に爪を立ててやった。
「ッ……何だよ?新年早々姫始めってシチュエーションに人が萌えてる時にっ」
「ちょっと!たぶんソレ字ぃ間違って……ああぁ、それよりあんたねえっ!たまにはエッチ抜きの時間を過ごそうとか思わない訳ッ!?」
「思わないッッ!!」
このすけべえええええっっ!!
「だって!」
翔太が口を尖らせる。
「ビンボーだからあんま外でデートできないし、せめて体だけでも気持ち良くしてあげられたら……って」
虚を突かれて、私は翔太を見上げる。
拗ねたような表情は、年相応のもの。
いくら体は大人に近くても……翔太はまだ、十三歳なんだ。
私は、そこを忘れていたらしい。
「翔太……ごめんね」
私は、翔太の頭を掻き抱く。
「翔太の気持ち、凄く嬉しい。けど、私は……SEX以外の事で触れ合うのも好きだし、気持ちいいよ?」
今度は翔太の頬を掌で包み込み、こつんと額を合わせる。
「無理しなくて、いいから……」
「櫻………………無理、したい」
へっ!?
「やっぱりそういうの抜きでも、櫻の事抱きたい……触れると、反射的に欲しくなる。サルみたいだけど」
…………まあ、仕方ないか。
SEXを教えてしまったのは、私だし。
「いいよ」
「櫻……」
私は翔太に抱き締められて、ベッドに倒れ込んだ。
その途端。
『お前達、ナニやってるううぅううッッ!!?』
部屋の窓とドアが開いて、四つの顔と八つの目が現れた。
それぞれの顔に見覚えが……あるのも当然で、私達の親だあああっっ!!
「櫻!!おま、おま、お前は翔太君に、何をさせてるんだッ!?」
「翔太!!嫁入り前の櫻ちゃんに、キズを付けたのッ!?」
両親の悲鳴に、翔太が息を吸う。
「俺達は付き合ってるんだ!!好き合ってる同士の男女がSEXして、何が悪い!?」
「そぉよ!!自己責任でしてるんだから、ほっといて!!」
お互いの両親に向かって、私達は叫んだ。
「いや、悪くないぞ」
「翔太君を選ぶとは、お前もなかなか目が高い」
「櫻ちゃんも性格がいいし、しっかりしてるし……翔太、離しちゃ駄目よ」
「これで将来は安泰ね」
口々に勝手な事を言い合って、四つの顔は消えた。
あ〜…………。
「……どーしよ」
「まあ……親公認の仲になったと思った方が……いい、かな?」
「……賛成」
「じゃ、意見が合致したところで……」
翔太が、がばっと襲いかかって来た。
「続き、しよう!!」