reality ability‐第1話‐天界、大都市center circle‐-7
「!!‥‥」
いきなり皇希は立ち上がり、凰輝相手に幻想具現化を出した!型は誠慈のような剣に似ていた。いや、全く同じだった。
しかし、凰輝は冷静に喋り放つ。
「ふーん、気にくわない?‥‥司義莉様と違っていて?」
「うるさいっ!!」
「それが君のホントの気持ちか?」
「‥‥‥」
皇希はゆっくりと構えた。そう、あの時の子供と同じように自然体で、右手の長剣の刃を下に向けていた。そして、凄(すさ)まじい殺気を放っている。
だが、対する凰輝は冷静にそれを見ているが、何もしない。
「‥‥‥‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥構えて下さい?死にますよ?」
「殺す気がない君に言われたくないな。」
「‥‥‥殺す気がない?笑わせないでください‥‥」
〈ヒュン!!‥ブシュッ!‥‥ポタッ‥ポタッ‥‥〉
皇希の一撃が凰輝の頬をかすめたようだ。何故なら、太刀筋が全く見えなかったからだ。皇希は刹那の動きをしたのだった。その証拠は、刃の先が確実に紅くなっていたからだ。
だが、頬をかすめた凰輝はいうと、皇希を責める事なく、哀しげな瞳で無言で見ていた。そして、彼の頬から僅(わず)かだが血が流れ続けていた。
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥これでも、ですか?」
「‥‥‥」
また二人は、真剣な眼差しで互いを見つめる。
数分間、二人は何もしなかった。ただ、終始無言で行動も起こさなかった。
すると、今まで殺気を放っていた皇希が、幻想具現化を消した。
「‥‥まったく。凰輝さんや司義莉さんには、心を砕かれますね。」
「そうか?」
「ええ。司義莉さんは俺の心の“闇”を知っているのに支援してくれますし、凰輝さんは凰輝さんで何もしないし‥‥」
「俺は君が悲しい“存在”だと思う。」
「‥‥しかし、俺はこの選択しかないと思ってます。」
「そうか‥‥」
「‥‥しかし、“ある者”にその事を言われたら、俺も考え直しそうですね。」
「‥‥でも、変わる気はないだろう?」
「ええ‥‥」
「‥‥邪魔して悪かったな。」
「いえ。‥‥最後に一つ。」
「なんだ?」
「織音を‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥むにゃむにゃ‥もう!何なのよ?この役!‥‥Zzz‥‥」
『‥‥‥』
「‥‥わかった。」
凰輝は織音を抱き上げ、部屋から出ていった。
「‥‥‥」
皇希は黙って、その様子を座りながら見ていた。