たったひとこと【第6話:写真は嘘を語らない】-1
休日の繁華街。
たくさんの客で賑わいを見せているその裏で、フードにサングラスとマスクという、近くで事件が起きようものなら第1容疑者になりそうな男が1人。
喫茶店の裏路地に入り、窓つきのドアをノックする。
「・・・合言葉は?」
「ピ―ナッツ」
「・・・入れ」
中は湿気がすごく、蒸し風呂のようだ。上を脱ぎたくなるが、店も客もお互いの情報は秘密の付き合いとしている。当然顔もである。
レジも上半分は仕切りがあって向こうの顔は見えない。
「会員番号は?」
「23」
「23、23っと・・・あった」
箱から大きめの封筒を取り出す。
「35枚で5500円、常連だから5000円でいいよ」
「どうも」
封筒を持って立ち去ろうとする。
「あっ、ちょっと」
男を呼び止める。
「よかったら、コレ」
さっきのより安っぽい封筒を差し出してくる。
「同じ娘のピンボケとか被写体が遠すぎるやつとかのボツなんだけど持って帰る?」
「・・・」
○○○○○○○○○○○○
また買ってしまった・・・
こんなことを続けているから告白も出来ないんだろうに・・・
それでも今日の収穫を眺めている内に、まあ、いっか♪と思えてしまう。
だってこんなにも可愛く写ってるんだから♪
一通り眺めた後で、もらったボツ写真の方もチェックしてみる。言ってた通り何らかの失敗が画に出てしまっている。
これじゃ部屋に飾るのは無理だな
その時、彼の手が止まった。
「え・・・これって・・・」
第6話:《写真は嘘を語らない》
「はいっ、成之っ、あ―ん♪」
「ちょっと止めなさいよ!成之が嫌がってるでしょ!」
「オレの買ってきた焼きそばパンだ。食べてくれるよな♪」
「アンタのパンよりアタシのコロッケパンの方がまだマシよ」
「2人共、作れよ・・・」
「私が料理教えましょうか?」
「オレにも誰か作ってぇや♪なあなあ」
「・・・うるさい」
メンバ―が1人増えただけでずいぶんと騒がしくなった昼休み。
何しろ詩乃と流々花の喧嘩が加わるのだからもう・・・