=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-7
「父さんが!?」
「そう。五年前、私は栄作さんの部下をやっていた。」
「"古代の黒歴史"とは何ですか?」
「ふむ。信じられないかもしれないが………、約五千万年前、アウストラロピテクスが生まれた時代よりも前に、今の科学など遥かに凌駕した極めて人類に近い生物、"古代人"が存在していたんだ。」
「ご…………五千……万年………前。」
「そう。まだ、その時代に何があったのかは詳しく分からないんだけど、その時代に戦争があった。」
「戦争…………。」
「その戦争で使用された兵器は、いつか復活するだろう敵に備えて、封印された。その兵器、我々は、"アストレガシー『星の遺産』"と呼んでいるが、アストレガシーの一つが君の腕に入っている。」
「…………はい?バルが?」
「そうだ。バルがアストレガシーの初号機だ。そして、君はバルに選ばれた契約者というわけだ。」
「選ばれた………オレがですか?」
「そう。君の右腕が証拠だ。君以外にバルと契約を交わせる人間は存在しない。」
「オレ……………が…………………。」
信じられないという思いが強かった。
ただ、信じられなかった。
つい一週間前まで、普通に学生生活を営み、平凡な毎日を過ごすと思っていた。
また、一生それが続くとも思っていた。
だが、そんな日常は砕け散ったのだ。
無残に。
「…………………。」
「信じられない………かな…………?」
「当然です………………まさか…………父さんが絡んでるなんて……………。」
「さて、次だ。ショックだとは思うが、聞いてほしい。」
「あの……………。」
「ん?」
「アストレガシーの一つって言いましたよね?ということは、アストレガシーは複数いるんですか?」
「我々が調べた結果によると、アストレガシーは全部で十二体いるらしい。そのうちの一体は、発見し、発掘中だ。」
「本当ですか?」
「ふむ。私と秋白君は、これからそこへ向かうつもりだ。」
「オレ一人じゃなかったんだ…………。」
「続けるよ。そのアストレガシー発掘隊として組織されたのがミクロコスモスだ。そして三年前、我々はバルを発掘した。だが、このような物を誰にも見つからずに運ぶのは不可能だった。だから発掘現場で調査していたのだが、一週間前、君の手に渡った。それが一週間前の全てだ。」
「…………………父さんは、今どこに?」
「………………………。」
「え…………ま、まずい質問でしたか?」
「いや…………………。」
「だいたいここにいない事で予想はつきます。言ってください。」
「……………一ヶ月前、我々の隊は、エンシェントに襲われた。そして……………栄作さんは、決死の行動で、私に研究データを託し、私を逃がした。」
「…………………………。」
「今の生きてる可能性は…………………。」
「ない………ですね。」
「君は、悲しくはないのか?」
「…………正直言うと…そうですね。父さんは、滅多に家にいませんでしたし、思い出も、ありませんから。和美はどうか分かりませんが。」
これで、一ヶ月前から仕送りが止まった事も説明できる。
やられたのだ。
エンシェントに。