=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-5
「蒼真君。」
呼ばれた。
蒼真の名前を。
「………誰?」
「こっちだ。」
その誰かは、市役所の横から出て来た。
黒いコートを着た男だった。
顔は、帽子で見えない。
いかにも怪しい風貌。
その男は、蒼真に近づいてくる。
そして、言った。
「ありがとう、バル、連れて来てくれて。」
『礼には及ばん。』
バルが答える。
どうやら、バルに命令したのは彼らしい。
「ここでは人目につく………こっちへ。」
コートの男は市役所の入ろうとした。
だがその前に、男は耳に手をあて、言う。
「追跡者、または監視者の存在は?」
この言葉の対象は、蒼真ではない。
男の耳に通信機がついている。
「よし………行こう。」
市役所に入った。
蒼真も警戒しながら後ろをついていく。
警戒にこした事はない。
いつでも竹刀出せるよう、心の準備だけはしておいた。
「エレベーターに。」
男が言う。
風貌が風貌であり、存在がかなり"ういていた"。
が、なぜか市役所の職員は気にもかけない。
「(かなり権力があるね………この人)。」
そんな様子から、蒼真は思う。
エレベーターのドアの開き、二人………いや、二人と一機は乗った。
ドアが閉まる。
「……………?」
蒼真は気付いた。
この男、なかなかボタンを押さない。
二階にいかないのか?
そんな事を考えていると、男は言った。
「ミクロコスモスへ。」
突然、エレベーターは下に下がり出した。
おかしい。
さっきの場所は一階ではなかったのか?
なら、なぜ下に…………?
………キン
着いたようだ。
ドアが………開く…………。
「!?」
正直、驚いた。
地下に……"こんな設備"があったなんて………。
「ようこそミクロコスモスへ。」
男は、笑った。