=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-30
美月は、目を見開いた。
「(やっぱり………………。)」
あの声は間違いなかったのだ。
信じられなかった。
ただ、信じられなかった。
助けに来てくれて、うれしさで満ち溢れているはずなのに………
この違和感はなんなのだろう………。
一週間前のも………彼………幼なじみだったのだ。
随所で囁かれている…………ロボットの正体。
「………………。」
「………………。」
互いを見つめながら、重苦しい空気が流れる。
周りの音は………サイシルド雌による破壊の音のみ…………。
やがて、蒼真が、重い口を開いた。
「…………乗って。」
「………………え?」
「ここにいたら危ない、だから早く。」
「ちょっ…………。」
「説明なら中でする。だから………。」
「…………わ、分かったわよ。」
半ば強制的に、美月はバルに乗り込んだ。
追って、蒼真も搭乗する。
ハッチが閉まり、バルは飛び立った。
★☆★☆★☆★☆★☆
「っ…………!!」
目の前にはサイシルド雌。
鎌でバルを襲撃する。
だが、当たらない。
バルのスピードを捉える事ができない。
そして、隙がある度に、蒼真はトリガーを引いた。
ウィングと前面にある銃が火を噴く。
だが、たいしたダメージにはならない。
「…………これ。」
「え?」
蒼真は後部座席にいる美月に右腕のバルブレスを見せた。
「リストバンドの中。生まれた時から埋め込まれていたんだ。」
「……………。」
黙ったまま美月は蒼真の話に耳を傾けている。
「これね………バル………この戦闘機の事なんだけど、バルの契約者である証なんだって。だから、オレは一週間前、バルに乗って戦ったんだ。」
「……………。」
「黙ってて…………ごめん。ホントは、明日、屋上で言おうと思ってたんだけど………。」
「え゛…………。」
美月は微妙な声をだした。
そう、昼間の事。
確かに美月は蒼真に明日屋上に来い、と呼ばれた。
だが、それは告白だと……………
「……………で………わ………た…よ……。」
「………はい?」
よく聞こえなかった。
美月が後ろでボソボソと言っていた。