=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-25
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美作美月は、完全に追い詰められていた。
あの後、逃げようと試みたが、大量のソルジャーに迫られ、逃げ遅れたのだ。
なんとか数体を蹴り倒し(その時点でありえないが……)、傷つきながらも入口付近まで来たが、今は白い奴、おそらく親玉に迫られていてあとがない。
「はぁっ………はぁっ………あ、あとがない……。」
構えてはいるが、それは形だけだ。
こいつを倒せるほどの力は、自分にはない。
「(死んじゃうの…………かな…………。)」
美月は思う。
この怪物の鎌をくらったら、自分など簡単に命を散らすだろう。
数秒で………。
呆気なく………。
「(蒼真……………。)」
明日告白されるであろう、幼なじみの名を想う。
今死んでしまったら、明日の告白は…………悲しい物となってしまう。
「(ちゃんと…………返事、したかったな…………。)」
OKしたら、自分と幼なじみは付き合う事になるだろう。
家が隣だから、いつも一緒にいる事ができる。
一緒に、買い物に行き………
一緒に、映画とか見て………
休みのたびにデートとかできて………
いつも学校でしてるような掛け合いもして………
たまに手とか繋いだりして………
ずっと、一緒にいるかもしれない。
ずっと…………
ずっと…………………
「(蒼真…………私もね…………あんたの事…………好きだったんだよ?)」
気持ちの中で告白する。
今日の朝………すると決めた告白を………。
たぶん………できなくなるから………。
――――サイシルドが、鎌を振り上げた――――
「(さようなら………ごめんね………蒼真…………。)」
「美月ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ―――っっ!!!」」
――どっかで聞いた事のある声だな………。
――ずっと、私の気持ちの中にいた、幼なじみの声。
――………あぁ、そうか……私は、走馬灯を見てるのかな………。
――じゃなかったら、こんな所まで、蒼真の声が聞こえるはずがないよね………。
――でも、死ぬ直前に聞けたなら…………。