=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-20
客の悲鳴。
サイシルドの目の前にある死体から、それは、明らかに危険な、自らの命を脅かす存在だと示している。
当然、我先にと逃げ出した。
その、ソルジャーは、今、美月の前にいる。
彼女は、始めは何が起こったか、分からなかった。
だが、一週間前の惨劇が脳裏によぎる。
だから、理解した。
自分が、今、かなり危険な事に………。
「な………何なのよこいつら!?」
買い物籠を落とす。
「シャァァァァ……………。」
ソルジャーは、牙が生えそろっている口を開いた。
まだ生まれたてなのか、粘着質の液体が糸を引く。
「またなの………!?」
ゆっくりと、後ろに下がる。
だが、頼みの逃げ場は、商品を陳列している棚に阻まれてこれ以上下がれない。
「キシャァッ!!」
突然、ソルジャーが鎌を横薙ぎに振った。
「(あ……………。)」
刃が美月の首に近づいてくる。
このままいったら、美月の首は胴体から離れ、宙を舞うだろう。
「っ!!」
だが、そうはならなかった。
ギリギリでしゃがみ、これを避ける。
さらに…………
「っぁ!!」
左足を軸に体ごと回り、右足で足払い。
「シャッ!?」
ソルジャーのバランスが崩れた。
そこで…………さらに一回転、その勢いで右足を突き上げるように蹴り上げる。
――――ソルジャーが、吹き飛んだ。
棚にぶつかり、商品がばらまかれる。
隙ができた。
よろめくソルジャーの目に映ったのは…………
走ってくる………美月。
「明日告られんのに………!!」
跳んだ。
「こんなとこで死ぬわけには………!!」
体を捻らせる。
「いかないのよっ!!!」
そのまま、回し蹴り。
ソルジャーの顔面が弾け飛ぶ。
棚ごと吹き飛んだ。