32分の永遠-5
あれからどうやって帰ったのかは覚えていなかったが、奈々緒が気付いた時には自室で寝ていた。
夢だと思いたかったが、手首に薄っすら残る紅い痕をみると、現実だと思わざるをえなかった。
あの男との行為を思い出し背筋がぞくりとしたが、同時に下腹部に熱が集まっていくのが判る。そろそろとショーツの上からそこをなぞれば、しっとりと湿り気を帯びていた。
その刺激で後孔からは残っていた精液がトロリと流れ出し、部屋に青臭い雄の匂いが広がった。
「あっ…」
まだ残っている男の指や舌の感触を思い出すと、今までに無い高揚感が奈々緒を襲った。
記憶を辿る様に、奈々緒は指で自身に触れた。
それによって生まれる淡い痛みと甘い感覚は、手淫に耽るには充分だった。
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今朝も奈々緒はあの電車に乗る。
エターニティの香りがどこからとも無く漂ってくる。
「やっぱり来てくれたんだね」
いつもの声に奈々緒の胸が高鳴り、しっとりとショーツが湿っていくのが判った。
スカートの中に差し入れられた男の手に、痺れるような感覚に陥る。
「こんなに濡らして…。待ち遠しかったの?」
その答えに、奈々緒は小さく頷いた。
そして、奈々緒はその細い指で男のごつごつとした指を自らの秘所に導いた。
待ち焦がれたその感触に、陶酔していく。
奈々緒はこの時初めて、今が永遠になればいいと思った。