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32分の永遠
【痴漢/痴女 官能小説】

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32分の永遠-1

 毎朝通学に使うのは、決まった時間の決まった車両。朝のこの時間帯の電車は、人が溢れ、身動きすら出来ない。
 奈々緒は志望校に合格したものの、もう2ヵ月あまり経つ今も、片道30分強掛かる朝のラッシュ時に未だ慣れないでいた。
 その理由は解っている。
 単に、溢れ返る人ごみと、むっとするような人いきれの所為だけではない。それは、奈々緒の身体を堪能するようにゆっくりと蠢いて、そこかしこと這いずり回っている『手』の所為だった。

 もう、今日で何日目だろう。

 少ししか働かない頭の片隅でそんな事を思い、嘔吐しそうになるのをひたすら我慢する。奈々緒は、その『手』を意識しないように、瞼を固く閉じ、意識を遠くに飛ばす。
「ああ。そうやって、今の状況を考えないようにしてるんだ。早く楽になりなよ」
 冷たい話し方と首筋に掛かる生暖かい息に、奈々緒はぞくりとする。自然と鞄を握り絞める指に力が入る。
 今はこの時間が早く過ぎてくれればいい。そう願うしかなかった。

 車窓の外は晴れやかに澄み渡り、新緑が目に鮮やかで、車内には車掌のアナウンスや、学生達の笑い声が遠くの方で響いていた。
 奈々緒に降り注ぐ不幸など、誰一人知る由もない些細な事だった。

****************

 毎朝、奈々緒は自宅の最寄り駅から、いつものように学校に行くために電車に乗り込む。車窓からは初夏の日差しが、流れていく風景を鮮やかに見せる。もうそろそろ、暑くなってきてもおかしくない時期だった。
 身長がそれほど高い方ではない奈々緒は、人ごみが苦手だった。自分の身長よりも高い所まで障害物があるだけで、圧迫感があるからだ。少しでもそれを避けようと、ドアの横が指定席だった。そこは、奈々緒が乗る駅で開いた後は降りる駅まで一度も開かなかったからだ。
 丁度真ん中の駅を過ぎてからだろうか。奈々緒はふと背中に触れるものを感じた。普段のラッシュの時にぶつかる程度の触れ方ではなかった。
 痴漢だと、すぐに解ったのだが、咄嗟の事で声が出ない。
 自分の知らない人の手が、自分に触れている。それだけで気持ちが悪いと言うのに、その手の温度が生温くてより一層の拍車を掛けていた。衣替えをして薄くなった制服の上から、それはつうっと背骨をなぞり、ゆっくりと学校指定の白いカッターシャツの中に侵入してくる。
 脇腹に触れるか触れないかで移動する指先。その感触は何かの幼虫が蠢いているようにも感じられ、奈々緒は酷い吐き気に襲われた。
 全身にじっとりと冷汗をかく。
 口中に胃酸が逆流しそうになり、唾液が溜まる。奈々緒は自分の下唇を噛み、痛みで必死に嘔吐感に耐えていた。
 しかし、男の手は次第に腹から胸へと移動する。胸を覆うブラの下からゆっくりと手を差し入れられ、僅かな布は上へとずらされる。
 そして、まだ硬さの残る乳房を捕らえた。
「…っん!!」
 自然に跳ねる身体。声が上がりそうになったが、その男の手に遮られた。
「大人しくしてれば、悪いようにはしないよ」
 その男の声は、そんなに中年と言うことも無い、まだ若い張りのある声。奈々緒にとっては、今のこの現状が変わるわけでもなく、どうでもいい事だったのだが。
 奈々緒は脅えながら、頭を小さく左右に振る。嫌だ、止めて欲しい、と。
 しかし、その願いが叶うはずもなく、男の指は乳首に触れた。指の腹で数回軽く撫でられた後、摘まれ、弄ばれると、奈々緒の思いとは裏腹に次第に硬さを増していく。
 奈々緒は心の中で、聞き入れて貰えるはずもない抑止の言葉を何度も何度も叫んだ。だが男は、胸の弾力を確かめるように触れながら、先端を苛め続ける。
 気付くと、奈々緒が降りる駅を告げるアナウンスが車内に流れていた。
「そうだ。またキミに会えるように、おまじないをしないとね」
 パシャリとシャッター音の後に視界に入ってきたのは、携帯に写し出された自分の恥辱に耐える顔。
 突起を一度強く捻られた後、今まで自分の身体の上を蠢いていた手から開放されが、奈々緒は奈落の果てに突き落とされたように愕然とした。
「また明日、同じ電車で。ね」
 男は一言一言ゆっくりと分からせる様に。
 電車が停止し、扉が開いて人が流れだす。奈々緒はふらつく足取りで、ホームに降り立つ。
 明日は一本早い電車に乗ろう。
 そう考えながら、込み上げる吐き気に耐えかねて、駅のトイレで嘔吐した。何度も、何度も。
 しかし、これは始まりでしかなかったのだ。


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