32分の永遠-4
「…ぁ、いや…」
そのまま恥丘を摘まめば、僅かに粘着質な水音が鳴る。奈々緒はその恥ずかしさに頬を紅潮させた。
「もう、こんなの邪魔なだけでしょ?」
恥所を覆う僅かな布が剥ぎ取られる。奈々緒は首を振って抵抗したが、何の効果も無く、それは呆気なくずり下ろされた。
「綺麗なピンク色だね」
奈々緒の濡れ光る桜色の陰唇を指で広げられる。
刹那、ぞろりとする感触。
「やぁッ!!」
秘所に男の舌が這う。
蜜壷から溢れ出す蜜を味わう様に、じゅるじゅると吸い上げる音が淫猥に響く。
割れ目に沿って、ゆっくりと這いずり回るその生暖かい舌に、奈々緒は嫌悪感を抱くものの、何か解らない感情が湧き上がっていく。
ぴちゃぴちゃと粘性の音を立てながら、執拗に責め立てられる。
「…ヤ、ん…、ふぅ…ん…」
「途中にしてたから、辛かったでしょ?」
陰核の包皮を剥かれ、吸い付かれると同時に、後孔に異物感を感じる。
「アっ!はあッ!!」
その指を数回抜き挿しすると、奈々緒の声は自然と熱が籠ってくる。
今までに教え込まれた感覚に、身体は素直に反応していった。
「イッてもいいんだよ?」
優しい口調とは裏腹に、男の指がもう一本増やされ、内臓を掻き回される如く、動きが激しくなる。
唇と舌先で生み出される快楽の波と、同調していく男の指。
「…んぁ、ハアッ…、…だめぇ…」
強張る四肢、仰け反る背中。
「んんっ、…あァッ!!」
思考が白く停止する頃、奈々緒はその悦楽に歓喜の声を上げ、直後にぐったりと脱力する。
奈々緒が女としての喜びを知った初めての瞬間だった。
生温かく粘つく男の舌と唇、そして抽挿を繰り返す指。
それでも未だ触れられないでいる秘所はヒクヒクと震え、溢れ出す愛液はぐちゅぐちゅと淫猥な水音を立てるだけだった。
「もう大丈夫だよね…」
そう言って、男は指を引き抜く。奈々緒の膝を割り、男の身体が割り込んでくる。
直後にその場所に宛がわれる、男の陰茎。
奈々緒の腰を掴んで、引き寄せる。
淫液で充分に濡れそぼる後孔に、痛みを伴ってゆっくりと侵入してくるそれは、指とは比べ物にならない程の存在感と熱。
「いっ…、あぁッ!!」
「本当はココに入れたかったんだけどね」
男は奥深くまで突き進むと、ぬるぬるとした膣口の割れ目を指でなぞりながら言った。
「まだ経験ないみたいだし、今度のお楽しみにしておくよ」
言い終わるや否や、自らのものを先端まで引き抜き、直後一気に貫いた。
「やあァッ!!」
何度も奥を突かれると、次第に奈々緒の中に痛みとは異なる感覚が湧き出る。
それにつれ悲鳴にも似た声から、甘く熱の篭った声に変わっていく。
「…ぅ…ん、やぁ…ア…」
肌がぶつかる音と、くちゃくちゃという粘つく愛液の音も、聴覚から徐々に奈々緒を刺激する。
収縮する内壁を男が激しく掻き回す。
「すごい締まるね…」
硬くなったクリトリスを同時に弄ると、奈々緒は一層声を歓喜の色に染め上げていく。
愉悦で思考回路が満たされていく。
「や…ダメ…、あぁ…ん…」
段々と男の律動は激しくなり、それに合わせ快楽を追求するかの様に、緩慢な動きながら、奈々緒も自ら腰を揺らしていった。
「そう…いいよ…」
「ぁアッ…やぁ、んんッ!!」
奈々緒の手足が強張り、狭い後口は更に狭まっていく。
「はぁ…アァッ!!」
「…ッ!!」
奈々緒が最奥を貫かれれ、絶頂を迎えるとほぼ同時に、男の律動が止まり、びゅくびゅくと白濁した情欲を奈々緒の中に注ぎ込んだ。
余韻に浸る間もなく、男が自分自身を引き抜きスラックスの中に仕舞うと、奈々緒の手首を解放する。抵抗する気がないのか出来ないのか、奈々緒はその場で呆然と力なく肩で息をするだけだった。
「今日は楽しかったよ」
奈々緒の反応を見て、男は目隠しを取った。
突然の光に目が慣れずに、男の顔ははっきりとは判らない。
「また、明日ね」
そう言って、男はその場所から立ち去って行く。
奈々緒の傍には、床に広がる交わりの水痕とエターニティの香りが残されていた。