たったひとこと【第4話お泊まりミッドナイト】-4
〜10分後〜
「ついたて工事終わりました〜」
「な・・・」
そこにはギリギリのすりガラスが浴場の真ん中を境に仕切られている。眼を凝らすとぼんやりと向こうが見える。
「これで悩殺度アップです♪」
「だからって、こんな・・・」
「マリ姉は詩乃に幸せになって欲しくないんですか」
たじろくマリ姉。
「そりゃなって欲しいけど、それとこれとは」
「2人の幸せの為に一肌脱ぎましょう!」
くるめの勢いに観念して、ようやく
「・・・分かったよ」
〜更に10分後〜
「おっ、おっ・・・」
シャワーを浴びている背の高いのはマリ姉だろう。
その隣に座って頭を洗っている背中は詩乃のようだ。
更にその横に見える幼児体型はくる・・・
「・・・誰か何かおっしゃりました?」
いえ、何も言っておりません・・・
「ぬおお―――――!ッキタ―――――!!!」
勝利の雄叫びをあげる一平。大浴場全体に反響する。
「うるさいわね、あの馬鹿・・・ん?そうだ、コレだ!」
す―っと詩乃の体に手を伸ばすマリ姉。
「うにゃっ!?」
「おおっ、なかなか発育しとるじゃないか?詩乃のムネ・」
もちろんこれも大きく反響。
「ちょ、ちょっとマリ姉!」
「ほ〜う、おしりもこんなにツヤツヤぷにぷにしちゃってえ♪可愛いなあ・」
どうだっ!
男湯をジッと見るマリ姉。
「アァ―――!姉サ―ン、オレを癒してクダサ―イ!!」
ついたてを昇りきって女湯へ飛込まんとするバカ1人。
「お・ま・えなんか・・・」
じっくりフォ―ムを決めて投球準備完了。
「どうでもええんじゃ〜〜〜!!!」
綺麗な放物線を描いてバカの顔にストライクするタライ。
ひゅ〜〜〜と落下していく一平を無視して
「成之はっ!?成之はどうしてる!?」
「・・・さっきから大人しく風呂につかってるぞ。赤く濁った風呂だ」
六呂の言葉にくるめが首をかしげる。
「赤いお風呂?そんな温泉あったかしら?」
「まさか・・・」
「おいっ、おいっ成之、大丈夫か!?大変や、湯舟の中で鼻血出してる!」
やっぱりか・・・