たったひとこと【第3話:Shall we ランチ?】-5
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「どっどっどういうこと何だね一体!!?」
教頭の声が裏返っている。
無理もない。学校の敷地内で我が校の生徒が4人の一般人をボコボコにしたのだから。
「どうなるか分かっていたのかね!?」
マリ姉が一歩前に進みでる。
「先生。今回のことは私の独断でやったことで、こいつらは関係ありません。処分は私が受けます」
「何言ってんだよ、マリ姉!」
「俺がやったんだ」
場の空気が止まった。全員が一斉に六呂を振り返る。
「みんな分かってるだろ?俺みたいな不良だからあんな最悪な連中を連れてきて、迷惑をかけた。もう終わりだ。学校も、もういい」
言い終わらない内に六呂は壁に叩き付けられた。成之が胸ぐらを掴んでいる。
「成之!?」
「・・・離せよ、沖」
「離さないね。オレはお前を爆笑させるって決めたんだ。退学にはさせない」
「・・・無茶苦茶な理屈だな」
「無茶苦茶だよ」
沈黙。じっと睨み合う両者。
「君達の処分は職員会議の後で」
その時、威勢よく校長室のドアが開いた。
「しっ、失礼します!」
「詩乃!?」
「・・・くるめ!」
2人共息を切らせている。走って来たのだろう。
「あの事件の一部始終を見ていた証人の人達を連れてきました!入って下さい」
「あっ」
成之のクラスもいれば違う学年もいる。廊下に溢れ帰っている生徒までもが口々に騒ぎ立てて
「オレらは窓から見てたけど不良が入って来て勝手に仲間割れしてるだけでした!」
「悪いのはあの人達よ!3人は悪くない」
「処分なんてどうかしてるぜ!」
呆然としている3人に
「一平くんが集めてくれたの。学校を守った奴らが退学にさせられる、力を貸してくれって」
「なかなかやるじゃないか、アイツ。見直したわ。その当人は何処なんだ?」
「さぁ、何か頭とお腹と歯が痛いとか言って帰ったけど。でもどういう意味だったんだろ?明日から爆笑王のネタがみれなくなってもええんか、これが決め手だったみたい」
(・・・明日学校来たら殺す)
ひそかに決意を固める成之であった。