たったひとこと【第3話:Shall we ランチ?】-3
「へ?くるめちゃん?」
「やってみないと分からないじゃないですか。不良不良って何も知らない癖に決めつけて・・・そういうこと平気で言える人、嫌いです」
しばらく静まりかえった場の硬直を壊したのはマリ姉の一声だった。
「おい、あれ!」
ドクロと呼ばれた男のすぐ後ろを4人の男達がついてきている。
振り上げた手には鉄パイプが・・・
「おいっアンタ!うしろ―!!」
マリ姉の声に反応して、すんでの所でかわす男。
「!?チッ」
男は何とか学校の外へ出ようと方向転換するも、2人は門番として出すまいと立ち塞がり、残りの2人が攻撃を仕掛けてくる。
「あ〜あ、ありゃあ死んだな。さらばドクロ、往生せいよ〜」
「私が先生呼んでくるから、アンタ達は・・・」
「くるめは!?」
詩乃の声に周りを見回すと、いつの間にかくるめの姿はなく、扉が風に揺れている。
「・・・おいおい、マジかいな・・・」
○○○○○○○○○○○○
4人、か・・・
無理をしなければ防御をしながら逃げ切れる人数だ。
が・・・
「うおらあっ!」
縦に一閃、軌道を見切ってぎりぎりの所でかわす。
やはり無傷で収めるのは難しそうだ。
中学の時ならこんな奴らは瞬殺で倒せただろう。だがそれは同時に再びシュラに堕ちることを意味する。
もう戻れない。戻りたくない。
「ぐっ!」
考え事をしていた為か思わぬ一撃を喰らってしまった。
その隙を狙ってもう1人が正面から力任せに殴りつける。地面に転がる男。
トドメをさそうと近寄る男達。
(駄目か・・・)
「何だ、てめぇ?」
倒れている男の目に映る2本の細い白い足。
「もう止めてください!」
両手を広げて立っている小さくも巨大な少女。
「!?お前・・・」
「ジャマだ、ガキ」
まるで羽のように簡単に飛ばされる少女。