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トラ恋!
【学園物 恋愛小説】

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トラ恋!ステップ1-1

私の友達である叶絵の口から
「孝次君が好き」
と初めて聞いたのは、中二のバレンタインデー前日のことだった。

その時はとても驚いて声を裏返らせてしまったことを覚えている。


―…
『えっ、孝次〜〜!?』

『こ、声大きいよ』

『へ〜、叶絵がねぇ〜』

男の子が大の苦手な(それ以前に人と触れ合うことが苦手な)叶絵にまさか好きな人ができるとは。
それも…よりによって私の幼馴染みの孝次だなんて。

『私には…高望みかなぁ…』

『そんなことないよ。叶絵、成長したじゃん。』

よしよし、と頭を撫でてあげる。
頬を赤くして俯く叶絵は女の私から見てもかなりかわいと思う。

『叶絵なら大丈夫だよ。あんたはいい子だから。』

叶絵はニコッと笑う。

うん、いける。
そんなかわいい顔向けられたら男はたまったもんじゃないから。

『明日、なんだけどさぁ……チョコ……』

『あげるの!? 孝次に!?』

『あげ…たい』

『よし、頑張れ! 陰ながら応援してるから!』


―…
結論から言うと、叶絵はチョコをあげることができなかった。

「足が石みたいになった」(叶絵談)

…まぁ、仕方ないっちゃ仕方ない。
叶絵に好きな人ができただけでも、人類初の月面着陸並の進歩なのだ。

その後、何度も
“叶絵の告白大作戦"
が浮上しては計画倒れになっていった。
それ所か、叶絵は未だに孝次に話しかけることすらできないでいる。

叶絵の手作りチョコも、三年連続で私の胃袋におさまってしまった。

そろそろ、私が動く時なのである。(というか、おせっかいな私が今の今までよく大人しくしていたものだ)





「ねぇ。あんた、叶絵って娘、知ってる?」

孝次は目を見開く。
どんよりと暗かった表情が明らかに変わった。

「いや、そりゃ知ってるよ。小中一緒だし、今も同じクラスだし。」

口調や仕草の僅かな機微から孝次の動揺が読み取れる。
多分それがわかるのは、長年一緒にいた私と孝次の家族くらいのものだろう。

それくらい孝次は感情を表に出さない。

それだけに、さっきの大きな表情の変化は驚きだった。

…こりゃ、脈が無いわけじゃなさそうね。


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