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トラ恋!
【学園物 恋愛小説】

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トラ恋!-1

『こうじく〜〜ん!』
『きゃ〜!かっこいい〜〜!』
『こっち見て〜〜!』


「……すごい声援だね」

「あいつら敵チームなのにね」

「確かに孝次君かっこいいけど、あの応援はひくわ」

「ほんとにね」


『きゃ〜〜!!』
『ないすあたっく〜〜!』


「うわっ! 孝次君笑った! 理香、見た!?」

「え〜、うん見たよ」

「なにその私はしょっちゅう見てますよ、的な態度は」

「う〜ん」

「うらやましい……幼馴染み……あんなレアな画……いつでも見れるなんて」


年に一度の球技大会。
今年はバレー。

右を向いても左を向いても孝次への黄色い声援が飛び交っている。
私の隣で座っている叶絵(かなえ)だって、彼女達と同様の熱い視線を孝次に送っている。

まぁ確かに孝次は見た目かっこいい。
叶絵曰く、「精悍(せいかん)で爽やか」な顔付きらしい。

それに滅多に口を開かない・滅多に笑わない・基本、女子と話さないというバリバリの硬派っぷり。
これもまた叶絵曰くなのだが、「稀に見る?漢(おとこ)?としてのかっこよさ」とやらに皆惹かれるのだろうか。

余談だが、去年の文化祭こいつは一年生ながら「抱かれたい男」部門グランプリに輝いた。(そんな部門、高校生としてはあるまじきと私は思うのだが)

一年女子からの票が主であったが、壇上で受賞者コメントを照れた仕草で拒否する姿が男女・年齢関係なく好印象を与えたようだった。

後日、「葉池孝次ファンクラブ会」なるものが結成された。(ちゃっかり叶絵も会員NO.22のカードを持っていたりする) ((会員の中に男子が2名ほど混じっているという噂も…))

孝次と幼馴染みの私にとってはとりわけ迷惑な話だ。
孝次の情報を聞き出すためか、私と友達になろうと話しかけてくる♀がすごく多い。
下心丸見えだっつーの。

本当の友達は叶絵一人だけでいい。(叶絵とは小学校からの仲)
親友、というやつだろうか。私は叶絵の恋を応援する気満々である。

私?

……言っておくが私は脈は無い。
正直、孝次への恋愛感情は持っていない。
ただの幼馴染み。
それだけだ。


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