投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

トラ恋!
【学園物 恋愛小説】

トラ恋!の最初へ トラ恋! 2 トラ恋! 4 トラ恋!の最後へ

トラ恋!-3

「理香。着いたから私、帰るね。バイバイ。」

「ふぁ……ん〜、バイバ〜イ」

寝呆け眼(まなこ)で叶絵を見送る。

「やっぱ昼寝はいいわ〜〜」


ふと、バックミラーが目に映る。

乗客は二人。

私と、孝次。

私たちの家は結構な郊外に位置する。

ミラーに映る孝次は色々あって疲れたのだろう、目を瞑っている。

まぁ今日は球技大会もあったし。
降りたら労(ねぎら)いの言葉のひとつでもかけてやろうと思う。

バスは、穏やかな沈黙に包まれている。




バス停が見えてきた。
ゆっくりと減速していく。
後ろを向くとどうやら孝次はお目覚めの様子。

私もそうなのだが、通い慣れると感覚的に終点が近いことがわかる。

また目が合ったのですぐに顔を前に戻した。

それと同時にバスが止まり、扉が開く。


「ありがとうございましたっ」
「はい、また明日ね」

この年配のおじ(い)さんとも、もう一年半の仲だ。

バスから降りた勢いそのままに、私は歩き出す。

脇道に入って、家まであと10分といった所か。
郊外にも程があるだろ、おい。
こんな砂利道、乙女にはハードすぎるわ。


しばらく歩いて、体ごと後ろを向く。
孝次はぐったりした様子で俯き加減で歩いていた。


「お疲れ様!」

孝次は顔を上げる。

「疲れた……マジで疲れた……あいつら、有り得ねえよ……」

私は孝次と歩を並べる。


トラ恋!の最初へ トラ恋! 2 トラ恋! 4 トラ恋!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前