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空想と現実の境界線
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怪談話CASE special:唐沢しずくの場合-1

『しずくバイバーイ♪』
『うん。じゃねー』

学校帰り。
友達との分かれ道を過ぎ、一人で薄暗い道を歩く。
ここらへんはただでさえ人があまり住んでいないのに…夜になると尚更住人は外出しない。
コンクリート塀の近くにある街灯の電力は底を尽き始め、少ない体力でチカチカと健気に道を照らしている。

私はその頼りない明かりを頼りに歩く。
家まで後800メートルといったところだ。もうすぐで着く。


『ん?』


街灯が照らしているほんのり明るい部分に、一つの紙切れらしきものを見つけた。
白い紙面にはインクっぽい文字で2007:10:21と記されていた。


『なんだろ?』


ホコリを手で払い、裏表を確かめる。

『やだ……何これ…』

インク文字が記されていた面の反対側には、笑顔で微笑む私の姿。
そう。写真だったのだ。

全身に鳥肌が立ち、背中に妙な寒気を感じる。

−危ない。
速く安全な場所に逃げなくちゃ。

直感が、身に迫る危機を告げた。

『やだっ…怖いっ』

家に向かってひたすら走る。
すると、道にある変化を見つけた。

『……何なのよ…』

道に散らばる無数の写真。
その写真が向かう先は、私の家。

気持ち悪くて、仕方がなかった。
私が何をしたの?
こんなことをされなきゃならないようなことをしたの?
と。

『はっ…はっ…』

やっと家に着いた。
と、胸をほっと撫で下ろした、その時。

『おかえり。しずく』
『…っ…!!』

玄関前に立っている、不審な男。
それが、親ではないことは容易に判別出来た。なぜなら、声、身長、体格。
……そして、右手に光るサバイバルナイフのような刃物。

『俺と、一緒に生きないか』
『ふっ、ふざけないで!!』
『……じゃあ、殺すしかないな』

見覚えのある顔。
聞いたことのある声。

でも、でも思いだすことが出来ない。


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