舞い斬る華 番外 シルディアの過去編-5
グサっ……
…自分の胸に突き立てる冷たい鉄の刃……
ツツー…
ほんの少しの血が流れる。。
抜いたとたんに傷はふさがる。
ズキンと胸が痛む
傷の痛みではなく、心の痛み。。。
彼女は泣いた
あの日を思い出し
今の自分を見て
彼女は大声で泣いた…
……
それから一年後、父はギリギリの状態だったがなんとか職場に復帰。
しかし前のようにはいかず、近場での事務処理に落ち着いた。
そして相変わらず父とも口を聞かず、不登校になって部屋に閉じこもっていた彼女は中学校に上がると同時に施設に預けられることになる。
施設の人は親切に話しかけてきてくれたり、色々なことを教えてくれた。
自塞していた彼女も、どこかで人との触れ合いを欲していたのか、やはり話しかけてくれることはそれなりに心地よかった。
そしてなによりも、ここには似たような境遇な人や同じ新人類の人間も多く居る。
それは彼女の表情と心を溶かす良い環境であった。
そんな中、追い討ちのように彼女を引き上げてくれる一人の先生と出会うことになる。
その先生も新人類だった。
やはり過去に辛い経験をしてきた経歴を持つ。
とても良い先生で、生徒の面倒見も凄く良かった。
先生には趣味があった
それは刀である。
学校の先生であるが、剣術の選手でもあった。
その先生は授業中に刀を見せてくれた。
……
ズキン…
刀を見て思い出す、刀を突き立てたあの日のこと…
そしてあの事件のこと……
彼女は顔色が優れなかった。
しかし、先生はそれを見透かすように彼女に声をかけた
「シルディア君、…強くなりたいかい?」
不意にそんな言葉をかけられ、彼女に衝撃が走った。
俯いて自分の机を見ていた彼女はバっと飛び起きるかのように先生を見上げる。
普通はそんな小さな女の子にこんなことは言わない。
彼女は先生の顧問する、実践剣道部に何度か見学の後、入部をした。