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舞い斬る華
【ファンタジー 恋愛小説】

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舞い斬る華 番外 シルディアの過去編-6

実践剣道とは、この時代に存在するスポーツで、竹刀を使った剣道なのだが、面や胴などにこだわらずにドコでも打ち込める。
むしろ剣道というより竹刀を使ったスポーツチャンバラのようなものである。

その時の彼女は先生に教われば何かが判るような気がしていた
そして体を動かして打ち込んでいることは、嫌なことを忘れられる手段でもあった。

また、事件のときに彼女の脳に刷り込まれてしまった、大人や男に対する恐怖心も、先生の指導しているときの真剣な顔を見ているうちにだんだんと和らいでいった。
常に健康な状態である彼女は毎日の練習でメキメキと上達を見せた。

といっても、本気の素人からなので、全然熟練者の足元にも及びはしないが…

それでも楽しい時間はいつしか彼女に普通の中学生のような明るさを与えていた。

そして、先生は時期を見て彼女に話す。

先生は過去に、彼女の父に命を助けられたことがある

いや、命といっても怪我でも病気でも死なない新人類。
命とは、生命のことではなく魂のことである。

先生が高校生の頃、組織に捕まってしまったことがあった。

そこを救ったのが当時まだ平隊員だった父で、そのときに持っていた刀の輝きが、その若き頃の先生の希望の光に見えたらしい。
そして、涙を流していた先生に「強くなりたいか?」とあの言葉を言ってくれたそうだ。

その話に彼女は、かなりの衝撃を受けた。

今までただ家に居ないで飛び回っているだけと思っていた父が、そういう仕事をしていたことも始めて知った。

彼女は自ら家に帰ると施設にお願いした。

本来なら期間内は生徒の申し出であっても家に帰すようなことは無いのだが、彼女の目には確かに何かを見据える力がみなぎっていた。

先生からも口ぞえをしてもらい、一時帰宅が許された。

彼女は父に会いに家に戻った。


しかし…

そこには生きている父の姿は無かった。。。


彼女が施設に居る間に、父は組織の仕返しを受けていたのだ…
幾度となく組織の邪魔をしてきた父

一人ぼっちで戦いからも一線を引かれた状態の父は格好の餌食だった…

死なないはずの新人類が、やつれて無残な姿になっていた…
実験でもされたのか…直接の死因は餓死…ということだった。。

再び絶望は彼女を襲った。

彼女は組織を恨んだ。

暖かい腕の中に抱きしめられた直後に奪われた 母の命

希望の光が見えたと思ったのに目の前にある 父の死


彼女は自我が壊れるほどに泣き叫び、そして復讐心を燃え上がらせえた。

彼女は父の部屋に行った。
そして刀を手にした。
父の部屋に飾ってあったあの日本刀である。


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