悪霊の作り方-3
彼は家に戻ると自分の部屋に入り、私と二人で撮った写メールを見ながらまた泣いていた。
2時間くらい変わらない時が過ぎただろうか…
私は寄り添うように隣で触れもしない彼氏の手に手を重ねていた。
その空気を切り裂くように急にその携帯に着信
私の友達でもあり、彼の友達でもある去年までクラスも一緒だった亜衣からだった
彼はその携帯を5秒らい眺めてから取った。
私が死んでものすごく落ち込んでいた彼への、心配のTELだった。
私の目から見ても彼女はとても良い人だし、前に彼を良い人だって言ってくれていた。
もし、彼が新しい彼女を作るのなら、彼女だったら私も嬉しいかな…
切り替えの早い私は、自分が終わったことを受け止めていて
早く彼が新しい一歩を踏み出してくれることをせつに願っていた。
そこでも彼は泣きながら何度か相槌を打つのが精一杯な感じだった
そして約束でもしたのだろうか、上着を着ると外へと歩き出した。
ついていくと、そこは見慣れた道をたどった見慣れた場所。
私達の仲の良かったグループが集まっては楽しく時間を過ごしたカラオケボックスだった。
何かあるとここに集まって騒いだりしてたなぁ…
学校イベントの帰りにとか…お誕生日会したり…
進路とかの相談とかするときもここ使われてたよねぇ…
部屋に入るとそこには先に彼女が居て、軽く挨拶をして彼は入っていった。
彼は私との思い出話をしたり、あの日のことを想像して自分のせいだと嘆いたり
黙って頷く彼女に、何を同意を求めるわけでもなくずっと私との想い出を語り、愛を語り…
彼女も私の死を嘆き、一緒に遊んだ想い出や、私が彼とのことを嬉しそうに話していたこととかをこぼしていた。
二人の前で私はまた泣いていた。
死んで泣き虫になったのだろうか、本来泣ける人間だけど色々見えなかっただけなのか
とかく私はこの現状を胸に受け止めて、体の中から押し出されるように涙をこぼすことしか出来なかった…。
いつしか二人は支えが無いと倒れてしまいそうに抱き合うように泣いていた。
私もそこに腕が被さるようにして混ざった。
辛さ、寂しさがピークに来ていたのか、近づいていた二人の顔が一瞬重なった…
チクッ…
目の前で見る友達と彼氏のキス…流れ的なものはあったけれど…痛かった…
すぐに二人は離れた
お互いが謝る。
もちろんお互い、相手を責めることなんか出来ず
また溢れる涙を互いの腕で拭うかのように寄り添って泣き始めた。