告白-1
今朝、学校に着いたら彼女がいなかった。
やっぱり昨日のことで学校行きずらいのかな。
奏人も心配してた。
俺は奏人にいきなり殴りかかった。
なんてことは出来ないので、心の中で殴った。
奏人は知らないんだ。
俺はすごく理不尽な怒りを覚えた。
今、この状況を正確に理解してるのは俺だけだ。
奏人は彼女の気持ちを知らない。そして彼女も奏人の気持ちを知らない‥。
つまりすべては俺次第って訳だ。
善人面して二人を結ぶことだってできる。
でも人間はエゴの塊だと思う。少なくとも俺はそうだ。
だから他人の幸せを一番になんて考えられない。
サッちゃんには幸せになってほしいって思う。でも奏人と二人でじゃなくて、俺と幸せになってほしい。
と言うより俺がサッちゃんを幸せにしてやりたい。
まだ俺は君の近くには行けてないけど、そのうち君の左側が俺の居場所って言えるようになりたい。
まぁ‥未だに《山田さん》止まりなんだけどさ‥。
なんか悔しいから奏人の前だと《サッちゃん》って呼んでる。妙な見栄だよな‥。
そんなこと考えてたら、《サッちゃん》が見えた。
窓から校門をくぐる彼女の姿が。
どうやら遅刻して来たらしい。そんなときでも慌てることなく、ゆっくり歩く彼女。そういうとこ、すげぇ好き。人に流されてない感じ、時間に縛られてない自由な感じが。
俺はこんな時でもすぐに君を見つけられるのに‥‥。君は‥‥。
授業が終わるとすぐに彼女のもとへ向かった。
ちょうど廊下へ出て来るところだった。
まるで教室から逃げ出すように‥。
また昨日みたいに抱き締めそうな衝動を寸前でこらえて、平然を装って話し掛けた。
「おはよっ」
『あっ‥おはよう‥。』
やっぱり少し動揺してる。昨日の今日だもんね。普通に‥フツーに‥。
「今日、休むのかと思った。大丈夫?」
やばい、声が裏返りそう。
『うん、大丈夫。それにただの寝坊だから。』
目が少し腫れてる‥。おそくまで一人で泣いてたのかな‥。話題変えなきゃ。
「そうなんだ。なんかめずらしいね。寝坊なんて。
あっ、そうだ!!サッちゃんって呼んでいい!??」
『えっ?あっ‥うん。』
「俺のことも結城君じゃなくて圭佑でいいから!!じゃあ俺、次移動だから‥またね!!」
『うん、バイバイ。』
なんか即席でしゃべったから、すごく微妙‥。でもちゃっかり《サッちゃん》って呼んでいい?って‥。我ながらすごい度胸。
授業中もそのことばっかり考えて一人でニヤけてた。
次、会ったら絶対《サッちゃん》て呼んでやる。