告白-2
放課後、職員室に呼ばれた。1時間もの間、説教を食らった。お前はテストがちょっといいからって気を抜いて授業がおろそかになってるとかなんとか‥。
そんなこと言われてるときだって頭の中はサッちゃんでいっぱい。
明日の朝一番で「サッちゃん、おはよっ」って言うか、それとも「おはよう、サッちゃん」って言うか‥。そんなことくだらないって思う人もいるかもしれないけど、俺にはかなり重要なことなんだよ。
やっと解放されたのが5時半。春が近いとは言え、日が傾けばまだ寒い。
しかも雨降ってるし‥。
傘あるからいいんだけど。
下駄箱に行ったら彼女がいた。
ただ雨を見てるだけなのに、その姿さえきれいだった。しばらく俺は君に見惚れてた。
はっと我にかえって、《サッちゃん》って呼ぶチャンスだって思った。
でもうまくタイミングがつかめない。あくまでも偶然を装って話し掛けなきゃ。先生‥。あなたの説教をこんなかたちでありがたく思うなんて。
よしっ‥。
「‥サッちゃん?」
あれ‥無視‥?
『あぁ‥結城君。』
今の間は何‥?まぁいいや。
「今、帰り?」
それしか考えられないけど、一応ね。
『うん、でも傘ないから止むの待ってる。』
「あのさ‥‥一緒に帰んない?俺、傘あるし。ムリかな?」
俺、今なんて言った?
もしかして‥一緒に帰ろうって言った?
ちょっと‥自分でも自分の言動が予想できない。
『ありがとう。でもあたしは止むの待ってるからいいよ。どうせにわか雨だと思うし。』
何で?
やっぱり俺じゃダメ?
そう思ったら、次から次へといろんな言葉が口から出た。
俺‥‥ちゃんと伝えられたかなぁ。たぶん今の言葉全部が俺の本音。
ねぇ‥サッちゃん‥。
そんな顔しないで‥‥。