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いつかの紙ヒコーキ
【純愛 恋愛小説】

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いつかの紙ヒコーキ-6

「勇介君は勉強頑張ってる?」
優里が俺に尋ねる。

就職を希望してた俺だったけど、希望を変更した。
一浪することにした。
やりたいことが見つかったんだ。
警察の交通課に入って、事故を取り締まりたい。そう思うようになった。

今年の九月の試験まで時間は少ないけど、やれるだけやってみようと思った。

母さんも、俺がやりたいこと見つかったって言ったら泣きながら喜んでたっけ。

「頑張ってるよ、勉強だけじゃなくて。
とりあえず普通免許も取ったし、今度は二輪取ろうと思ってる。」
「そっか頑張ってるんだ、何か最近の勇介君ハツラツとしてるしね」
「そうか?」

ありがとう・・・優里



三月

遂に卒業の時期になった。みんな今までの学校生活を振り返ったり、これからの事話したり。
名残惜しそうな人はたくさんいたが、何だかんだで盛り上がってた。

そして俺はいつものように優里と帰る。
「優里、あのさ」
俺は優里に話し掛ける。
「ん?」
「最後のクラス会いかないか?」
「クラス会?」
「ああ、今まで俺、ずっとそういうの避けてきたけど、誰かと触れ合ったり、笑い合ったり、泣き合ったり。
そういうのって凄い大事なんだって・・・優里に出会って気付いたんだ」
俺は、俺と同じでいつもそういった集まりを拒んでいた優里に持ちかけた。

「勇介君・・・そうだね行こっか」
そう満面の笑みで返す優里が
一歩、また一歩と一緒に進んでくれる優里が愛しかった。



そして卒業の日が来た

校歌を歌い、証書を受け取り、先生の言葉を聞き、俺は卒業した。
みんな別れを惜しんだり、その場の雰囲気に流されたり、思い出に感動したりして涙を流していた。
でも俺は何故か涙は流れなかった。

卒業式を終えた俺は、一人屋上へと向かう。
そして柵ごしに校庭や、校庭の外の景色を見る。

すると今までの思い出が蘇った。

ここで紙飛行機を飛ばしたこと、ずっと人と近づくのを避けていたこと。
優里と出会ったこと、ここで優里と話したこと、やりたいことが出来たこと、クラスの仲間とほんの少しだけど近づけたこと、そしてここでいつも感じていた風も。

継ぎ接ぎだらけだけど、色褪せない。
そんな思い出が頭の中を駆け巡る。

すると何かが頬を伝った気がした。
俺は自分でも気付かないうち涙を流していたんだ。



"こつこつこつ"
一体誰だろう?
屋上の階段を上ってくる音、俺は急いで制服の裾で涙を拭く。

扉が開いた。

振り替える俺。


するとそこにいたのは優里だった。
まるであの時みたいだ。


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