=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-4
ボ――――――――――――――――――――――――――――ッ
「(え゛!?これって………!?)」
ハイもう一度
ボ――――――――――――――――――――――――――――ッ
周りの音ではない。
目の前にいる蒼真から発している音だ。
こんな音を出す彼は、いったい何をしているのか?
文字通り。
ボーッとしているのである。
「(だからって…………!!)」
美月は走り出した。
「音出すなぁぁぁぁぁっっ!」
スパーーンッ
乾いた音がした。
美月の手の中にはツッコミ必需品"ハリセン"。
乾いた音の発生源は、蒼真の頭だ。
「えぁっ!」
謎の悲鳴。
やっと現実に戻ってきたようだ。
お帰りなさい。
「普通出る!?ボーッとして音出る!?」
「あ………………よっ、美月。」
「話噛み合ってなぁいっ!」
美月は頭を抱えて天を仰いだ。
この男は、小さい頃からこうなのである。
「だいたい屋上なんかで何"幽体離脱"してんのよ!もう五時限目始まってるじゃない!!」
「だってさ、授業、暇なんだもん。そういう美月だって五時限目に出てないじゃん。」
「う゛……………。」
「さては、サボろうって魂胆?」
「……………はぁ、アハハ、バレたか。」
いつもボーッとしてるくせに、洞察力はいいのだ。
「(って、また幽体離脱してるし………。)」
すでに蒼真の心は現実になかった。
再びボーッと音がする。
「(よくそんなすぐにボーッとできるよね。)」
美月は、そんな少年の顔を見る。