=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-3
土埃は晴れた。
ならば、目の前にあるのは爆破の結果だ。
岩の中身だ。
だが、その結果に全員が違和感を覚える。
その違和感を口にする者はいない。
できない。
できるはずがない。
その場全員、いや、空気でさえも、その"結果"に目を奪われているのだから…………。
その結果は………………
蒼い…………巨像
=《蒼閃機甲バルトーク》=
第壱斬「蒼い巨像」
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そんな現場とは無縁の三年後
「(やっと見つけた……!!)」
"母を探して三千里"という作品があるが、彼女、【美作美月】のこの状況は"幼なじみを探して三百米"だった。
何故にそんなに短い?
理由は簡単。
ここは、学校。
『県立水無月高校』の屋上。
さて、その探し物(いや、探し"者")は美月の目の前にいる。
紫髪の男。
【周防蒼真】
学ランのボタンは全開けで、ワイシャツもズボンからはみ出ているという教師から顰蹙を買いそうな服装だったが、彼がやると何故かだらし無く見えない。
板についているのであった。
右腕のリストバンドもかっこよさに拍車をかけている。
「蒼真!!」
美月はその幼なじみの名を叫ぶ。
だが……………
「(シカトですって〜〜〜!?)」
美月の方を見向きもしない。
彼は手摺りに腕を乗せ、空を眺めているのだ。
つまり、蒼真は美月に背を向けている形で立っているのである。
「蒼真!!!」
再び、叫ぶ。
反応なし。
シカト。
残念。
乙。
「(…………まったく…………って。)」
美月は気付いた。
とある事に。
「(何………?この音…………?)」
耳を済ますと音が聞こえてくる。
さぁ、聞いてみようか。