＝《蒼閃機甲バルトーク》＝ 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-2
ズガ……………
――――音が止まった。
やがて、ドリルを使っていた男が、額の汗を拭きつつ、言った。
「こんなもんですかね、周防さん？」
周防と呼ばれた中年男性が反応する。
作業衣にヘルメット。
工事現場に相応しい姿。
ヘルメットから少しはみ出ている紫髪がなんとも印象的だ。
「ふむ……大丈夫だろう。では、始めるとするかな。」
その場にいた数十人の顔が一斉に綻ぶ。
その顔は、新しいおもちゃを与えられた子供によく似ていた。
周防も例外ではない。
どんなものが出てくるのかとワクワクしている。
そんな顔だった。
ふと、周防がこれから爆破する"それ"を見上げる。
"それ"は洞窟の中の物品の中でもとりわけ異質な空気を放っていた。
岩。
それも十メートル近くの。
そんな岩、これから爆破する対象を見つつ、穴の中に周防がとある物を設置する。
爆弾だ。
そこらへんを吹き飛ばすには十分な威力の。
爆破の威力で目の前の岩を崩そうというのだ。
「みんな離れてくれ。何がでるか拝もうではないか。」
全員がその言葉に従う。
従わなければ、爆発に巻き込まれて死ぬだろう。
そんな事で命を失ったら、これから出てくるであろう物が見れない。
そんなバカな話はない。
だから過剰なまでに離れた。
はやる気持ちを抑えて。
「いくぞ。」
周防が静かに言って、スイッチに手をかける。
静かな言葉だったが、その言葉は確かに皆に届いていた。
生唾を飲む。
そんな小さい音すら響く静かな洞窟。
嵐の前の静けさ、といったところか。
いや…………すでに始まっていたのかもしれない…………。
嵐は……………。
―――――爆破。
爆音と共に辺りに土埃が舞い上がる。
その場にいた全員が腕で口を押さえた。
だが、目だけは、爆破現場から放さない。
結果をこの目に収めなければ………。
と……………
――――これは…………なんだろうか？