=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-17
「な………何、これ。」
「戦闘機の操縦方法は分かるか?」
「え、あ、うん。今日レポートに…………って、そうじゃなくて!」
蒼真の珍しいノリツッコミ。
「た………助けてくれた事は感謝するよ。でも、オレは市役所に行かなきゃいけないんだ。連れてってくれ。」
「なかなか来ないから、迎えに来たのだ。」
「え、じゃぁ、オレを呼んでたのはあなた?」
「そうだ。」
「いったい何なんだ…………って……来たぁぁっ!」
「くっ…………。」
オロチの背中の蛇が襲い掛かってくる。
戦闘機は、その間を縫うように飛び、攻撃を避ける。
「蒼真、操縦桿を握れ。」
「なっ、何言ってんだよっ!」
「このままではやられるぞ?」
「そうじゃないよっ!オレにそんな事できるわけないよっ!!だいたい、何でオレの名前を知ってるんだよ!?」
「話は後だ。いいから操縦桿を握れ。」
「だからオレには無理だって!!オレは、ただの一高校生にすぎないよっ!」
「お前しか………戦える者がいないのだぞ?」
「オレ……しか………?はは……そんなの嘘でしょ?」
「嘘ではない。その右腕が証拠だ。」
「これが……………証拠?」
「そうだ。」
「………………。」
「っ………来たか。」
オロチの更なる襲撃。
ギリギリでかわす。
「っ…………頭が多すぎる。蒼真、我のみでは限界というものがある。早くしろ。」
「…………………でも。」
「では、このまま、お前の街が破壊され、人が死んでゆくのを黙って見ているか?」
「っ………それはっ………!!」
はっきり言おう。
嫌だ。
これ以上、街の日常を壊したくない。
だが、その気持ちを全面に押し出すには、周防蒼真という人物はあまりにも弱すぎた。
「オレはっ…………!!」
ガチャンッ
膝の上の、箱が、落ちた。
ピンク色の箱。
美月が自分に渡そうとし、落としていった物。
ゆっくりと…………それを開く。
「弁当?」
そう、弁当だ。
朝早く、自分のために作ってくれた………。
「それは………彼女がくれたのか?」
戦闘機が言う。
「い、いや、彼女とか、そ、そういうのじゃなくて…………幼なじみなんだ。」
「…………好き、なのか?」
「ち、違う!断じて違う!み、美月は、ホントにただの幼なじみで!」
「(……………初々しい奴め。)」
ちょっとからかってみる戦闘機であった。