=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-13
ドンッ
「キャッ……!!!」
逃げ惑う群集にぶつかる。
「って………ちょっ…………!」
通勤ラッシュの時間帯だ。
人は多い。
だから、美月は、その人波に流される。
「ちょっ………そ………蒼真ぁぁぁぁぁぁっ!!!」
完全に流された……………弁当を地に残したまま…………。
「え………美月!?美月ぃぃぃぃぃぃぃっ!!!」
蒼真は叫んだが、時すでに遅し。
美月の姿は、見えなくなっていた。
「くっ……………。」
蒼真は、悪態をつく。
美月を………守ってやれなかった………。
「こうなったら…………。」
行くしかない。
水無月市役所へ!
「?」
蒼真は、とある事に気付いた。
地にある物。
美月が持っていた、ピンク色の箱。
「美月…………!!」
それを手に取り、蒼真は走りだした。
★☆★☆★☆★☆★☆
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……ハァッ………!!」
まだ、市役所からは遠い。
だが、走らなければいけない。
このブレスレットが何かを知るため。
「ゴアァァァァァァァッッ!!」
オロチは咆哮する。
そして、背中の八本の蛇を暴れさせた。
ビルというビルが破壊される。
もはや、この街の日常の姿はなくなっていた。
それでも、蒼真は、走っていた。
オロチに向かって。
「ハァッ………ハァッ………くそっ、何なんだよ、これはっ!」
ブレスレットを見て、言う。
あの怪物と関係しているのは確かだ。
じゃなかったら、このタイミングでのこの反応は、ない。
「って…………うわぁぁぁぁぁぁ!!」
瓦礫が、ここまで飛んで来た。
急いで、横に跳ぶ。
ズザァァァァァッ!!
反動で、蒼真の体が地面に叩きつけられる。
そして…………衝撃。
先程まで自分がいた場所に、巨大な瓦礫が飛来していた。