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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み9 〜secretly concern〜-14

「んくっ……あ、あ、ああ、あ……!」
 そんな龍之介から与えられる快楽を受け止め、美弥はただひたすら喘ぐ事しかできない。
「あ、あ……またっ……またあっ……!」
 支えを得ようとでもいうのか、うわごとのように呟き続ける美弥の指が、龍之介の体のあちこちを這った。
 恋人の分身が奥深くまで到達すると、か細い声を上げてその体へしがみつく。
 それだけでは足りず、爪を立てては引っ掻き傷を作っていた。
「んっ……もう、ちょっと……!」
 龍之介は、腰の動きを加速させる。
 恋人を咥え込んで離さない肉襞が、激しく痙攣し始めた。
 精液を吸い上げようと纏わり付いてくるその感触に耐え切れず、龍之介は一声呻くと急に動きを止める。
「あ、あ……!」
 自分の中で弾けるその感覚に、美弥が呻いた。
 全身のわななきは、互いに数秒続く。
 
 はっ、はぁっ……
 
 荒い息をつきながら、龍之介は体を離した。
 ぬるんっ、と未だ反り返っている肉棒が吐き出される。
「ん……」
 後始末をしてから美弥を抱き寄せると、恋人は自ら腕の中へと転がり込んできた。
 幸せと満足がごた混ぜになったその表情に、龍之介はじんとしてしまう。
 何年経ったって、可愛いものは可愛いのだ。
 その可愛さのあまり、龍之介は美弥をいじくり始める。
「んん……」
 それを軽い後戯と受け取ったか、瞼を閉じたままの美弥はくすぐったそうな何とも色っぽい声を上げた。
「やぁだ……ちょっと……」
 頬に落ちる唇の感触に、美弥がくすくす笑う。
「……まだ、不安?」
 龍之介の問いに、美弥は首を横に振った。
「ううん……」
 その答に、龍之介は微笑む。
「そういういらない不安は、さっさと白状してしまうように。じゃないと……」
「と?」
 急に言葉を切られた美弥は、不思議そうな顔をした。
「と……」
 龍之介は一瞬、困った顔をする。
「……またするよ」
 
 
 翌朝。
 目を覚ました龍之介は、まず真っ先に空腹を覚えた。
 何しろ昨夜は美弥とホテルに入る気などなく、家に帰ったら巴が用意していたはずの夜食を掻っ込むつもりで、バイト中に軽食を摂る事もなかったのである。
 そこに激しい運動で消費したカロリーの補給不足が加わっているのだから、お腹が空いていない方がおかしい。
 ……笑う所ではない。念のため。
「う〜……」
 不満げに呻いた龍之介は、むっくり起き上がった。
「……あれ?」
 違和感に、つい声が出る。
 いつもなら安心しきった寝姿を披露している美弥の温もりが、隣にないのだ。
 視線を隣に向ければ、寝乱れた形跡はあれど本体はなく……。
 珍しく先に起きた美弥の行き先は見当がつくので、龍之介は取り立てて騒ぎはしなかった。
「……風呂か」
 催してきた用を足すため、龍之介はベッドから下りて立ち上がる。
 脱衣所とトイレを兼ねた部屋へ行くと、案の定……隣のバスルームから、水音が聞こえてきた。
 かなりご機嫌らしく、水音に紛れて鼻歌が聞こえる。
 その姿を想像するとここまで来た本来の用事が足せなくなりそうだったので、龍之介は慌てて用を足した。
「みーや?」
 浴室のドアを叩き、龍之介は美弥を呼ばわる。
 別にいきなりドアを開けて入っても構わない間柄ではあるが、『そこまで緊張感をなくした関係になるのは嫌だ』と、しばらく前に話し合って合意していた。
 長く付き合ううちにだれた関係になると、別れが迫ってきて恐そうだったのである。


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