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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み9 〜secretly concern〜-15

『あ、起きた?おはよ』
 ドア越しの籠った声に、龍之介は微笑んだ。
『お腹空いてるだろうし、寝てる間にご飯の準備しようかなって思ったんだけど……ちょっと遅かったね』
「いいよ。外に出たら何か食べたいな」
『うん』
 
 
 ホテルを出た二人は、食事を摂るべくその通りを抜けようとした。
 甘え気分の美弥は龍之介と腕を組み、嬉しい気分の龍之介は顔がにやけている。
「あれ?」
 意外そうな美弥の声に、龍之介は視線をそちらに向けた。
 ――輝里と秋葉が、少し離れた場所にいる。
 どちらも顔を赤らめ、体をくっつけていた。
 違うホテルから出てきた二人を見て、龍之介は驚く。
「あ……」
 立ち止まった二人に気付いたか、秋葉が声を上げてこちらを向いた。
「や、おはよう」
 泰然たる口調で、龍之介は挨拶する。
 輝里は、真っ赤に染まった顔をうつむけてしまった。
「こんなとこで、何やってんだ?」
「決まってるだろう」
 秋葉の問いに、龍之介はあっさり答える。
「美弥と仲良くしてたんだ」
 それから、肩をすくめて続けた。
「こういう場所に来てする事なんて、だいたい決まってるだろ?」
 言われた秋葉は脱力したらしく、肩を落とす。
「そりゃそーか……」
 そんな会話を交わす男達をよそに、女の子達は視線とジェスチャーで会話を交わした。
『ようやく、仲良くできたのね〜?』
『う、うん……』
『ふふふ、おめでと〜』
『うん……』
 しかし……自分達の場合は体を繋げるのを躊躇わなくてもいいんだという事を秋葉が学習するのに、またえらく時間がかかったものである。
 輝里はいつだってどんなに控え目でもOKサインを出していたのだから、やはりそれを読み取る能力が欠けていたのだろうか。
 輝里と目で話しながら、美弥はそんな事を考える。
 ただ……何がどうとははっきり言えないが、この二人の関係がほんの少し変わっているような気がした。
 まあ、進展があるのは結構な事である。
「そうだ。僕達これから朝ご飯なんだけど、よかったら一緒にどう?」
 龍之介の申し出に、輝里はびっくりした顔になった。
 珍しい事に自分が苦手という龍之介からの、申し出なのである。
 以前に美弥から『龍之介は女の子が苦手なのよ。輝里ちゃんを嫌いな訳じゃないから、気にしないで』とフォローされているから言葉通り気にはしていないが、それでも驚いてしまった。
「いいのか?」
 ぽけっとした顔で問い返す秋葉に対し、龍之介は頷く。
「食事は、多人数の方が美味いってね」


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