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綱なしバンジーをしようと思うんだ
【コメディ その他小説】

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綱なしバンジーをしようと思うんだ-1

「いや、死ぬから。」
「そうかなぁ?」
「そうだよ。てかいきなりなんの脈絡も無しに訳わかんねーこと言ってんじゃねーよ。卵焼き掴み損なったじゃねーか。」
「いや、いきなりではないんだ。前からずっと考えてたんだ。」
「知らねーよ!!超能力者じゃねーんだからお前の考えてることなんかわかんねーよ。」
「すまん。」
「いつから考えてんだよ?」
「中学二年の時ぐらいから。」
「俺より付き合い長ぇじゃねーか!?どんだけその考え温めてんだよ。」
「そうだな。てことはお前より先輩なんだから敬語使え。」
「意味わかんねーよ。もうなんか全部の意味がわかんねーよ。」
「でさ、どう思う?」
「何が?」
「綱なしバンジーだよ。」
「まだ言ってんのかよ!?どんだけ綱なしバンジーにこだわるんだよ。てか何で綱なしバンジーなんだよ?そこがわかんねーよ。」
「なんか冒険者ってかっこいいじゃん。」
「意味わかんねーよ。第一それは冒険者じゃなくてただの馬鹿だよ。それに冒険の意味が違うよ。」
「何で?」
「冒険ってのはどっか秘境とかに行くこと。お前のはただの自殺だ。」
「死なないよ。」
「死ぬよ。奇跡十回起こしても死ぬよ。」
「奇跡十回起こしたらいくらなんでも助かるだろ。」
「どんくらいの高さからやるつもりなんだよ?」
「50mぐらい。」
「死ぬ。100%死ぬ。」
「なんか大丈夫そうな気がすんだよ。」
「お前のその自信がどっからくるか知らんが止めとけ。」
「何でそんなに止めんだよ?」
「目の前に自殺しようとしてる奴がいたら誰だって止めるわ!!」
「だから自殺じゃなくて」
「馬鹿!このマキシマム馬鹿!!」
「お前最大の馬鹿はひどいだろ。」
「もう黙ってろ、お前は。飯食うぞ。」
「まぁ、止められてもやるつもりなんだがな。」
「じゃあ言うなよ!?いや、言わないと駄目だよ!そうしないとお前、ただの精神病んだ人で処理されちゃうよ。」
「まぁ、つーわけだ。」
「何勝手にまとめてんだよ!?てか何で普通のバンジーじゃなくて綱なしなんだよ?そこが訳わかんねーよ。」
「だってバンジージャンプは結構メジャーじゃん。けど綱なしバンジーって調べたら世界でやった人まだ誰もいないんだよ。これはやるしかないだろ。」
「いるよ。先進国で結構やってるよ。ただ綱なしバンジーとして認識されてないだけだよ。」
「じゃあなんて認識されてるんだ?」
「飛び降り自殺に決まってんじゃん。」
「俺は違うよ。別に自殺する理由ねーもん。」
「最終的にはそう理解されんだよ。俺も新聞のコメントで『悩みを持ってる風でもなく明るい人でした』って言うことになるよ。」
「世間は凡人の集まりだからな。」
「うん。そのセリフは説得力あるわ。お前からみたら大抵の人間は常人だからな。」
「そうかそうか。」
「馬鹿にしてんだよ!?気づけよ。てか昼休みにする会話じゃねーだろ、これ。」
「じゃあいつならいいんだ?放課後か?」
「いつでも駄目だよ。できれば一生したくない会話だよ。」
「文句の多い奴だな。」
「何でもいいから止めておけ。せめて普通のバンジーにしてろ、な?」
「やだ。普通すぎる。かっこよくない。」
「お前のかっこいいの基準を一時間ぐらいかけて説明してほしいよ。まったく理解できねえ。」


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