投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Funny×Funny×Days
【コメディ 恋愛小説】

Funny×Funny×Daysの最初へ Funny×Funny×Days 2 Funny×Funny×Days 4 Funny×Funny×Daysの最後へ

Funny×Funny×Days(1)-3

翌朝、俺は見慣れない部屋で目が覚めた。
というか、ここは押入れ?
身体を起そうとしてガンっと頭を低い天井にぶつける。
「っ痛」
周囲を見ると元々和室だった様で床の間と2段ベッドが1つ、その隣にはシングルベッドが並んでいた。
起き上がれば、俺が寝ていたのは押入れの下の部分。上の部分も同じ様に布団が敷かれている。
記憶を辿るがある事を思い出し、脳内細胞が沸騰した。事故とはいえ、初対面の女の子の胸を…

「要さん、起きてますか?」
襖越しに当人から声を掛けられ声が裏返る。
「あ、起きてます」
「ご飯の支度しますから、ご一緒にどうぞ」
怒っているのか見極められず香ばしい匂いに誘われるまま襖を開けると、そこに立っていた一葉さんが俺の頬に手を伸ばした。
心臓が一瞬、力強く脈打つ。意識し無い様に心掛けしていたのに、意識するしかない状況に俺は困惑するばかりだ。

「昨日はすいません。やっぱり腫れてますよね。本当にすいません、明日は入学式なのに」
「俺の方こそごめん。…でも明日が入学式って如何して知って?」
「同じ高校だからですよ」
成る程、納得。そう言えば、彼女の叔父も彼女が俺と同じ歳って言ってたのを思い出した。

「これからお隣さんとしても、宜しくお願いします」
「こちらこそ」
「おーおー、少年、朝からときめいてるな?」
昨日の諸悪の限りを尽くした根源である彼女の叔父の声に警戒して壁を背中に付ける。
声の主を探せばひょこりと通路から覗かせた顔は昨日とは違い、無精髭は剃られスッキリとした容貌だが間違いなく彼女の叔父だ。

「茂叔父さん!」

一葉さんがからかうなと制する様に一喝すると、笑顔でするりとかわし所定位置であろうダイニングテーブルの一角を占拠する。
「ま、少年、こっちに座り給え。イチ、叔父さんにもお茶頼むよ」
「もう」
呆れた様子で彼女はカウンター越しのキッチンに入った。俺は渋々向かえ側に座り、出されたお茶を啜る事にする。
「さてさて、昨日はロクに挨拶出来なかったから自己紹介するよ。
名前は御崎 茂(ミサキ シゲル)37歳 独身、職業は漫画家。
イチの叔父で。あ、イチってのは一葉の愛称。
父親が俺の兄で『一義(カズヨシ)』っていうから呼び分けしてるんだ」
自己紹介を淡々と聞いて、この人はテンションが上がらなければ常識的な人なのかもしれないという印象を受けた。

「要くんの事は真くんから話は聞いてるよ。空手有段者だってね。
家事とかで困る様だったら、イチを貸してあげるぞぉ。そ・の・か・わ・り」

本能的に嫌な予感が悪寒となって背筋を駆ける。
茂さんは一葉さんがこっちを向いていない事を確認しながら、顔を近づけて一言こう言った。

「イチのボディーガード、頼んでいいかな?」
「なんでまた」

過保護過ぎやしないかと思ったが、冗談ではなく茂さんが苦悩の表情を浮かべる。
「今まで近所に学校があったからそんなに心配していなかったんだが、
何せ高校は電車通学だろ?イチの容姿じゃ痴漢どもの格好の餌食」
「考え過ぎでは…?」
「過去に捕まえた変質者は1ダース強。今じゃ仕事が忙しくてね。この通り頼むよ、無論タダとは言わない」
提示された金額は普通にバイトするのと変わらないもの。だがしかし…だ。


Funny×Funny×Daysの最初へ Funny×Funny×Days 2 Funny×Funny×Days 4 Funny×Funny×Daysの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前