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Funny×Funny×Days
【コメディ 恋愛小説】

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Funny×Funny×Days(1)-2

「と・き・め・きぃぃいい!!ウェルカァムゥウウ!!」

部屋の奥から目に見えない程の速さで飛び出して、無精髭でメガネを掛けた男性が俺の至近距離に顔を近付ける。
「ふんふん。むむ…君が要くんかぁ…いい体躯してんなぁ。これでイチと同い年とは思えないぞ。
おお?これは空港限定の老舗『弥生』のデラックス苺大福?!
いやぁ、若いのに気が利くねぇ。そんな君に、これはサービスだぞっ☆」
テンションが上がった男性に菓子折りを奪われた挙句(実際渡す為に来たのだからそれは構わないが)
いつの間にか背後を取られ背中をドンっと思いっきり押された。
当然バランスを崩した俺は狭い玄関で身動きが取れず、目の前に居た一葉さんを巻き込んで倒れてしまう。

「きゃあ!?」
「うわっ!?」

これの何処がサービスだって言うんだ?理不尽さを憶えるも倒れた直後に視界はクリーム色に覆われた。
柔らかい物体に顔が挟まれている形になり、手で除けようとするとその物体がムニュっと音を立てる様な弾力を返す。
訳が判らなく何度か手で掴んでみる。柔らかいけど張りがある感触。

「っん!やぁ!!」

頭の上から突然聞こえた嬌声に驚き、顔を上げると上目遣いになった俺の視線と
クリーム色の谷間の向こうから涙目になった一葉さんの視線が自然と交差する…って事は…
俺は無理やり押し倒した様な体勢で彼女の胸に顔を埋めて、あまつさえ胸を掴んでいる!?
「どーだ、少年?イチは童顔で小柄だが、胸だけはEカップだぞ〜」
さも愉快そうに笑う男性には呆れるものの、確かにサービスと言えなくもない現状で俺が真っ赤になってテンパっていたら
一葉さんの口唇はワナワナと震え、今日聞いたばかりの飛行機のエンジン音に負けない大音量で叫び声を挙げた。

「「いやぁああああああっ!!」」

耳を貫く悲鳴を聞きながら、俺は彼女の拳を左頬に受けてしまい意識を混沌させる。



混沌とした意識の中で俺は誰かの泣き声と男女の会話を耳にした。
『プロット出来たぞぉ』
『先生、お疲れ様です。あらら?これって?』
『いやぁ、若いっていいねぇ。創作意欲を刺激されるよ』
『まぁ先生ったら』
二人のはははっと笑うが段々声のトーンが低くなり、場を泣き声だけが支配する。
『あ〜イチ、そう泣くな。お前と要くんの尊い犠牲のお陰で叔父さんは新しい連載に漕ぎつけられたんだから』
『そうよ、一葉ちゃん。全然無駄じゃ…』
何を言っても無駄だと悟ったのか、女性がこう提案した。
『うん。この連載が終わったら好きなだけ先生ボコっていいから、泣き止んで、ネ?』
『イチなんで泣き止むんだ!?打ち込み練習はしなくていい!!吉田くん、君も焚きつけないでくれたまえよ!?』
焦る男の声に混じって、空気を切る音が聞こえる。
『あら、先生。この前の連載も一葉ちゃんをダシに使ったでしょ?
いい加減報いを受けないと不公平ですし、それにボコられるのが嫌なら連載を続ければ良いじゃないですか。それとも先生?この話は打ち切り前提作品になります?』
『吉田くん?君も言うようになったねぇ』
『先生と過ごすと口も達者になりますわ。
詳しいスケジュールは後で送りますから、巻頭カラー原稿の準備お願いしますね。』
それじゃあっと言ってドアが閉まる音が聞こえ、俺の意識もそのまま落ちた。


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