『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-283
「………!!!」
全身が硬直し、跳ねるように痙攣する。
(う、うううぅ!)
螺旋状に巻きついて来た粘膜の刺激。それを受けた大和も、ついに限界を迎えた。
「!」
収束してきた精が、一気に迸った。スキンの先端にある吹き溜まりに、濃度の高いものが大量に注ぎ込まれる。
「……ぅ……ぅぅ……」
桜子の体を強く抱いて、腰が抜けるほどの射精感に耐える大和。絶頂を迎えた彼女も、硬直したように大和の体にしがみついているから、密着感は相当のものだ。
「は……あぁ……はぁ、はぁ、はぁ………」
「はぁ……はぁ……はふ……あ、ふぅ……」
唇が離れ、力が抜けたように、二人はベッドの上にどさりと倒れこんだ。抱き合ったまま、繋がったまま、あらぶる呼吸を何度も繰り返して、息を整える。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
桜子の身体から、汗が滲み出てきた。その汗が、密着している身体をさらに強く結びつける。
(裸で、抱き合うって……気持ちいい……)
穏やかになってきた愉悦に意識を揺らめかせながら、桜子はまどろんでいる時と同じ心地よさでいっぱいになっていた。
汗にまみれながら、それでも、大和の身体を強く抱きしめる桜子であった。
「ホテルのこと、あたし、誤解してたみたい」
湯気と共にお湯の中で揺らめいているのは、桜子のダイナマイト・バストである。
「こんなにお洒落なところだなんて、全然知らなかった。お風呂場も、広くって…」
完全にとはいかないが、長い脚を無理に折り曲げなくてもいいので、家の浴槽よりも遥かに快適であった。もっとも、蓬莱亭にある風呂場のサイズが、一般に比べても随分と狭いので、それ以外の浴槽は桜子にとって、どれも“広い”ように映るのではあるが。…それは、さておき。
あの後、コトが終わってから、しばらくまどろみの中で時間を過ごしていた二人は、汗に濡れた体を洗うため、共に入浴としゃれこんでいた。一緒に入ろうと誘ったのは、意外なところで、桜子の方からである。
『お風呂、入りたいなぁ』
という呟きを漏らしたことが、その始まりだった。
『え? そうなの? 時間、あるの?』
時間に制限があるものと思い込んでいたので、大和からまだ充分に余裕があると知らされた桜子は、嬉しさのあまりに、
『一緒に、入ろっか』
と、勢いで言ったのである。その後で、恥ずかしそうにしていたが、“いいのかい?”という大和の確認に、彼女はしっかりと頷いた。
空の浴槽に湯を半分ぐらいまで張り、向き合う体勢で湯船につかる。さすがに二人を同時に入れる容積を考えると、それは手狭な感じを受けないでもなかったが、その分、肌の密着度が上がるので、気持ちの良さには変わりがなかった。
「入るときは、恥ずかしいけど……」
風呂のことではなく、ホテルのことだ。
「また来ても、いいかな……なんて」
なにしろ、そのための場所であるのだから、真っ最中の時も気兼ねなく声が出せる。それに、二人だけの甘い時間を誰にも邪魔されず、お洒落な空間で楽しめるというのは、桜子にとって新鮮な発見であった。“居は気を変える”という言葉があるが、彼女はそれを体感したのである。
「エッチなテレビも、たくさん見られるからね」
「そ、それはっ! ……もうっ!」
ぶくぶく、と桜子の顔が湯の中に沈む。それを見ながら大和は、珍しく声を挙げて笑った。
「むぅ……えいっ」
「わ、ぷっ……!」
逆襲の桜子。両手を組み合わせた“水鉄砲”で、大和の顔を攻撃する。ものの見事に一条の放物線が描かれ、それが大和の顔面まで跳ね水のアーチをかけた。
「う、上手いんだね。こうするのかい?」
「あ、うん。こうして、こうするの」
期せずして、互いの指が絡み合う。それは、じゃれあいのような触れ合いである。