『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-266
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……
互いの息遣いと、汗の香りが混ざり合い、リビングルームは香気で満ちる。己の体から生み出されたはずのフェロモンに、自らが酔わされてしまう。
「うっ……!」
不意に亮は、腰の辺りに凄まじい官能を感じた。顔が、晶の胸の中に埋まっているので視認できないのだが、なにやらもぞもそとした感触が、ブリーフの中で張り詰めている愛息をなぞっている。
「くっ……うぅっ……!」
確認するまでもない。晶の長くしなやかな指が、膨張著しい愛息をいとおしんでいるのだ。
「あは……すごい、もっこりしてる……硬くなってるぅ……」
男顔負けの快速球を弾き出す黄金の左手で…。下から上へと、裏筋をなぞるように…。
「うふぁっ……」
甘美でありながら、鋭角的に襲い掛かる刺激。亮は、鼻から空気が抜けたような、なんとも女々しい喘ぎを発してしまった。
「可愛い声……きもち、いいのね……」
仰せのとおりでございます。
「……もっと、してあげる……今日は、あたしが……」
頭の拘束が解かれたかと思うと、亮は肩に手を置かれ、あっという間に晶の下に組み伏せられていた。長い髪が、はらり、と流れて、その先端が亮の胸板をくすぐっている。
「くっ……」
その刺激でさえも、亮の神経は過敏に反応し、それが声ならぬ声となって溢れてきた。
「あたしが……イかせてあげるわ……」
「あ、晶……?」
その指が、ブリーフの縁に添えられると、亮に何の逡巡も許さず、一気に下げ降ろされてしまった。
びよんっ
と、滑稽なまでに跳ねる愛息。跳ねるだけならまだしも、びくびくと動悸に合わせて脈動しているではないか。
(そんなに喜び勇んで、おねだりせんでくれ…)
愚息の浅ましさに、恥じらいが顔を出す。
「うっ……あ、あぁっ……」
しかし、名状しがたい感触に包み込まれると、たちまちにして亮の意識は愛息ともども、めくるめく桃源の彼方に連れ去られてしまった。
「んふ……ちゅっ……んちゅ……」
ぬる、ぬる、ぬにゅる…
「は……あふ……おっきぃ……んふぅ……」
先端を這いずり回る、えもいわれない柔らかさ。裏のほうから絡めとられるように、愛息の頭を撫で回されて、あまりの気持ちよさに亮は、成されるがまま体を震わせた。
「ふふ……ん、んん……んっ……んんっ……」
奥のほうまで飲み込まれたかと思うと、口内の粘膜に擦りあわされながら、愛息の先端は傘を広げて頭を出す。
「うふ……すごくなってる……ん……はむ……ちゅっ……」
赤黒く充血したそれを、舌なめずりしながら妖艶に見つめた後で、晶は再び口の中に含み、ディープ・スロートを何度も繰り返した。
「く……あ、あっ……」
たまらない声で、亮は喘ぐ。教室でもグラウンドでも、熱を込めて指導している時の凛々しさからは想像もつかない、弱々しい声だ。こんな声を聞けるのは、自分しかいない。それが、晶の中にある占有欲を満足させ、いとおしさに形を変えて、懸命な口での奉仕に繋がっていった。
「くっ……あ、あきらぁ……」
許しを請うような声音で、亮が呼ぶ。先端から徐々に湧き出るものが、濃い味に変わってきていたから、彼の限界が近づいていることはよくわかった。
「………」
「うっ……わっ……あ、ああっ……」
晶は、さらに激しいディープ・スロートを行う。先走りが滲んでくる鈴口を舌の先で小刻みに舐めさすりながら、口内の圧力を自在に変化させて、変幻無限の刺激を亮の愛息に与え続けた。
「あ、き……らっ……!」
「!」
口の中で、先端が瞬間的に膨張した。刹那、チューブに入っている携帯ゼリー食品を、誤って強く握りつぶした時のように、粘性のある質量が勢い良く口内に広がった。