『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-241
「あ、晶っ……もう……」
「きてっ……も、もう一度……中に……中に、きてぇぇぇ!!」
びくびくびくっ、と最大の絶頂波が晶の身体を走る。
「うっ……うあっ……くっ……!」
びゅくっ、びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅる!!
「あっ、あぁっ! ああぁぁあぁあぁぁぁぁぁ!!!」
激しいうねりと収縮に飲み込まれた亮の砲塔は、その内芯に溜め込んでいたものを一気に放出していた。
二発目とは思えないほどに大量の精弾が、晶の胎内へと打ち込まれていく。
「あつい! また……い、いっぱい、きてるっ……!! 奥まで、きてるっ……!!」
騎乗位になって戯れているうちに、洩れてしまったものを補うかのような、強烈な放流が子宮の入り口に降りかかってきていた。
上に乗っている状態であるのに、重力に逆らいながら、数億を数える“生命の種”が晶の胎内に広がる宇宙を駆け抜けていく。根ざす大地を目指して、疾駆している。
「あ……うっ……んぅ……!」
それらが生み出すエネルギーに、晶の身体は何度も震えて、そのたびに膣内の襞が螺旋を撒いて収縮するのだ。
「くっ……!」
どくっ……びゅっ……びゅる、びゅるっ……
「う……うぅ……」
その渦に飲み込まれ、亮は搾り出すように精を迸らせた。
「んっ……す、すごい……まだ……でてきてる……」
「あ、あぁ……晶が、求めてくるからな……」
「やだ、もう……また、そんなことをいうんだから……」
亮の軽口に、晶は膨れっ面を見せた。それでも、その瞳に彼を責める色はない。二人は、性交の後でおろそかにしてはいけない“後戯”を、言葉の戯れによって愉しんでいるのだ。
絶頂を越え、遥か高みを漂っていた意識が元に戻っても、二人はその結合を解くこともなく、抱き合ったまま太股を絡めて、互いに身を横たえていた。
「あなたって、エッチのときも饒舌になるのよねぇ」
「そうか?」
「そうよぉ」
そのおかげで何度、“おま×こ”に代表される恥ずかしい淫語を口にさせられたか…。もっとも、その饒舌に乗せられる晶にも、非はないと言えないのだが。
「野球の時の方が、“ひとりごと”は多いけどね」
「う、うん。それは、認める」
野球中継に釘付けになった彼が、まるで解説者のようにひとつのプレイを反芻している姿は、晶にとっては茶飯事の光景である。一緒に暮らすようになってからは、シーズンに入ればほとんど毎日それを晶は聞かされているわけだが、彼は“ひとりごと”の中でも、口汚く選手や作戦をなじったりすることは絶対にないので、慣れてしまうと面白いものである。
「好きなことだと、いっぱい喋りたくなるのかな?」
「そう、かもな」
普段は朴訥として、口数もそれほど多くはない。一般の会話の中では、晶の方が主導権を握っている。しかし、こと野球に関わる話になれば、イニシアチブは亮に移る。それが、この夫婦の、良質なコミュニケーションのバランスを生み出しているのである。
「うふ」
「?」
不意に、晶が悪戯っぽい笑みを見せて顔を寄せてきた。
「いま、認めたね」
「え?」
「好きなことなら、いっぱい喋るってこと……。じゃあさ、エッチも大好きなんだね」
「………」
「ほんと、よく喋るんだから……自覚ない?」
「い、いや……」
性交は、ある種の酩酊状態に入っているものの、正気を失うわけではない。興奮するばかりで、慣れない頃ならそれもあるだろうが、亮と晶は回数にして三桁を越えるほど身体を重ね合わせてきたのだ。少なくとも、セックスによって自我を失うことは、例外もあるが、ほとんどない。