『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-240
「んっ! あっ、あっ!! ああぁあぁっ!!」
不思議なもので、そうすると身体を走る悦楽が乗倍に跳ね上がった。
「うんっ……あっ、あぁっ……亮……んっ、んっ……」
「くっ……いいぞ……いいぞ、晶……」
ようやく二人は、それぞれの望んだかたちを融和させたようである。
「亮……すき……すきぃ!」
「あぁ……晶……晶……!」
腰の動きを合わせながら、二人で引き出す快楽に夢中になっているのだから、それに水を差すというのも野暮であろう。
「んっ……んんっ……んぅっ……!」
ぬぷっ、ぬちゅっ、ぐぷぐぷっ……!
「んあっ……! あぁあぁぁっ……!」
激しく出し入れするばかりが、性交渉の醍醐味ではない。相手がいるからこそ、互いのリズムを調和させることは、普段の会話と等しく重要なことだ。
そういう意味においても、セックスも会話の一形態であり、大切なコミュニケーションの手段なのである。なるほどこれが絶えれば、夫婦の仲が冷えてしまうのも当然だと言える。
「きもちいい……きもちいいよぉ……」
下からの突き上げをいつしか享受して、それを悦ぶ晶。揺さぶられるたびに、肌に浮かぶ汗も黒髪と共に舞って、剥き出しになった彼女の艶やかさを、これ以上ないくらいに表現していた。
「………」
明るく、活発で、利発で、よく気がついて…。床上手であり、濡れ姿も色っぽい…。
「晶……」
「んっ……んんっ……?」
「俺さ……。世界で一番、自分が幸せだっていう自信があるよ」
世辞でも、お調子でもない。亮は本気で、そう思っている。そう感じたことを、彼は言葉にしているのだ。
「あたしも……あたしも、幸せよ……」
腰の動きを止めずに、晶はその身を被せてきた。どちらからともなく、まるでそれが必然の行為であるかのように、二人は唇を重ね合う。
「ん……んぅ……ん……」
「っ……ふぅ……む……」
舌先を絡めあって、唇を優しく噛み合って、互いの吐息を混ぜ合わせながら、体中を使ってスキンシップ・コミュニケーションに没頭する。熱帯夜の運動ゆえに、汗がしとどに絡んだ肌で二人の密着を深め、解けないようにしている。
「!」
やがて、晶の太股が激しく慄いた。絡み合っていた唇の奥で、その喉が震えたのも亮にはわかった。
「ひあっ……あ……ああっ……!!」
「いいよ……晶、我慢しないで……」
それが絶頂の余震であることは、熟知している。そして、晶はそれを限界まで我慢しようとする傾向があるので、亮は先を制するように、優しく彼女に耳打ちした。
ふっ……
「ひっ……!」
彼女の耳が、激しい性感帯となっているのも承知である。
「俺もすぐに……だから、な……」
「う……ん……あっ、あっ……!」
何かが身体の奥からせり上がってきたのだろう。全身の戦慄きが強くなり、晶の胎内も締め付けが激しくなってくる。
「イクッ………!!」
びくっ、と晶の背が大きく反った。最初の絶頂波が、身体を駆け抜けたのだ。
「あっ……あっ……!」
更に二度、三度と、晶の肢体は大きく震えた。女の絶頂波は、男のそれとは違って、一度や二度では収まったりしない。むしろこれからが、本番である。
「くっ……う、うぅ……!」
波を受けた時に、それが最も影響してくるのは胎内である。自らの分身をその中に収めているわけであるから、受ける刺激は並ではない。
男のそれは女と違い、達してしまった後の“精の装填”には時間がかかるものだ。しかし、健康で若い成人男子である亮だから、2ラウンド目とはいえ、その精力には充分な余裕を残していた。