『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-197
この部屋で、誘惑の声を耳にしながらも、彼女に触れようとしなかったのは、何か特別な理由があったわけではない。 ただ、気分が乗り切らなかったのだ。
初めて結ばれた場所に対する想いと、家主への遠慮が知らないうちにブレーキとなっていたのだろうか。艶なる声が隣から聞こえてきても、それを契機として情欲に火が点くことは、これまでは一度もなかった。
むしろ、桜子の方が我慢をしていた。 しかし、女の子の方から誘いをかけると言うのが、浅ましいように思えて、その気になっても言い出せなかったのである。
「ねえ、しようよ……。あたし……また……むずむずしてきちゃった……」
今はもう、その遠慮もなくなっている。桜子は、押し付けた胸で大和の身体を上下にくすぐりながら、二回目の誘いをかけていた。
艶なる積極的なその仕草は、確かなステップを踏み出した証と言えるかもしれない。桜子の扇情的な行為は、大和の心にも甘い衝動を湧き上がらせた。
「いま、とんでもなく興奮してるから……」
「そ、そうなんだ……。でも、いいよ……あたしも……そう、だから……。あ……、あんっ!」
煽られるまま大和は、誘いをかけてきた桜子を組み伏せた。
「んっ……!」
唇に強く吸いついて、言葉を奪う。
「んんっ……ッ! んぅっ、んっ、んんっ!!」
舌を巻きつけて絡ませあい、その口内を蹂躙する。
「ん……ぷっ……ふぅっ……!」
唇が離れると、幾重もの銀糸が二人の間でキラキラと光を放った。
「気持ちよくさせてあげるよ……」
「えっ……う、うん……」
情熱的な深い味わいのキスで責められ、虚ろになった彼女の目を射抜くのは、激情の色を含んだ、燃えるような大和の視線である。
「たっぷりとね……もっと、声を出すといいよ……」
その言葉づかいにも、普段にはない荒々しさが多分に含まれていた。
(ああ、これが……本当の、大和くんなのかも……)
桜子の背筋が期待に慄いた。本気になった彼は、いったいどんなふうに自分を責めてくれるのだろうかと…。ひょっとしたら、また、お尻を叩いてくるかもしれないと…。
彼が見せた嗜虐性の強さと合わせ鏡になるように、桜子の中に潜在していた被虐性が浮かび上がってきたらしい。
「もう、ひとりでしようなんて考えないぐらいに、さ」
「や、やだっ……! もう、言わないでよ……あ、んっ! んぅっ!」
大和の愛撫を全身に受け…、
「い、いたっ……! あ、あんっ、あぅんっ!!」
歯型がつくぐらいに強く乳首を噛まれて…、
「ひっ……! ひあぁぁっっ!!」
そして、身を反転させられ、尻を突き出す格好を取らされたかと思うと、そのまま一気に深い場所まで、大和の熱い陽芯がグサリと突き刺さってきた。
「はぁ……はぁ……はぁ……も、もう、だめぇ……」
矢継ぎ早に浴びせ掛けられる強烈な刺激。2ラウンド目の突入早々にして、桜子は既にノックダウン寸前である。
「ふふ……まだまださ……」
しかし、容赦のない大和の責めが、桜子を休ませない。彼女の腰に添えられていた手のひらが、その場を離れて宙に浮いた瞬間、獲物に狙いを定めた鷹のように、素早い動きで急降下した。
狙った先は、迫力の在る彼女の臀部である。
ぱちぃん!
「ひっ……!」
ぱちぃん! ぱちぃん!! ぱちぃん!!!
「ひぃんっ! あ、あうっ! あうんっ!」
一度と言わずに何度も、それも連続で、大和はスパンキングを加えていた。
「い、いいっ……おしり……もっと……たたいてっ……!」
しかし、それを待ち望んでいたかのように、甘い悦びの声を桜子は挙げる。