『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-195
ずちゅっ、ずちゅずちゅずちゅっ! ぐちゅん、ぐちゅぐちゅっ!!
「は、激しすぎるよぉ……っ! あっ、あっ、ああぁああぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!」
桜子の官能は、完全にコントロールを離れた暴れっぷりを見せて、聞き分けの無い幼児のように身体の中で癇癪を起こしていた。
「あっ……あっ、やあっ……!!」
ぶるっ、ぶるぶるぶるっ…
「やっ……と、とびそう……! ダ、だめっ……! ダメぇッ……!」
大挙して押し寄せる悦楽の負荷に耐え切れず、彼女の電極はショート寸前である。
「と、とんじゃう……! も……あたし……ッッ!!」
きゅ、と閉じ合わせた瞳の端から涙が溢れた。それは悲哀を告げるものではなく、体の中で起こる反射のひとつだ。
びちゃっ、びちゃっ……!
繋がっている箇所の真下のシーツには、大きな丸いシミができている。垂れ流しになっている愛蜜で出来た、世に二つとない見事な世界地図だ。
「とんじゃう……ッッ! も、もう……ダメッ……!!」
我慢が利かないことは、彼女が見せる反応で十分にわかっている。
「ああ、いいよ……。遠慮は、いらないから……」
同意のこととはいえ五日も放っておき、部室で自慰をさせるほどに欲求不満を感じさせてしまったのだ。だから今は、自慰では味わえない遥か高みの世界まで、彼女の意識を飛ばしてあげたい。
「思うように、飛べばいい……。僕も……、すぐに……っ!」
「う、うんっ! うふぅんっ! ん、んぅ、んんっ!!」
交錯した互いの意思。それを、手のひらを握り合わせることで確かめる。
解けることを望まないように絡めた指を強く掴みしめながら、高みを目指すための魂魄の滑走を、二人は始めていた。
「あ、あああぁああぁぁぁ………」
桜子の全身が、声も含めて痙攣を始めた。それは、魂が雄飛する寸前の兆候である。
「と……とんじゃうぅぅ………っ!」
白濁としていく意識。膨大なエネルギーが体の中からせりあがってきて、今にも弾け飛びそうだ。
「や、まと……くぅ……ん……んっ、んっ……!」
「くっ……ぅ……さ……くら……っ!!」
弾けそうなのは、大和も同様だ。全身をめぐりめぐった悦楽がすべて腰の辺りに集中し、先端に向かって収束していく。
びくびくっ!
「あ、あっ……ん……ッ! あああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ついに、桜子の意識が空を飛んだ。そして、その高みに大和を連れて行くように、繋ぎ合わせたすべての部分が、激しく収縮して硬直した。
「………ッッ!!」
収縮が生み出す強烈な摩擦。それを受け流すことなど、到底不可能である。
びゅるっ、びゅるびゅるびゅるびゅるっっ!
「……ッ! ……ッッ!!」
大和もまた、張り詰めていたものを全て開放した。
先端から飛び出る生命の奔流は、ゴムの膜によって先端の吹き溜まりに押しとどめられるのだが、大和の意識は間違いなく、桜子が先に昇っていった高みを目指して跳躍していた。
「あ、あぁあ……ああぅ……」
「くっ……うっ……うぅ……」
痙攣と弛緩と硬直を何度も繰り返しながら…。
二人の意識は溶け合ってひとつとなり、彼方の世界を漂っていた。