『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-192
「んんっ……くぅっ……」
痺れるような激しい官能をいきなり与えられた桜子は、抑えを利かせられずにあられもなく艶声を挙げた。芯のあるその声は、間違いなく壁を通り抜けて隣に聞こえたであろう。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ…
「んひっ! んっ、んんっ! あ、あっ、あんっ、あぅんっ!!」
それもおかまいなしに、大和の腰が激しい前後運動を生み出す。背を反らし、枕から顔が浮いている状態の桜子は、突かれるままに何度も艶のある声を高く挙げ、大和の責めを甘受していた。
「どっちが、いい……?」
「な……あっ……んんっ……」
「自分でするのと、どっちがいい?」
「そ、そんなのっ……!」
ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅっ!!
「ひっ、ひあぁぁっ!!」
背筋がさらに反り、体中を音速にも違い速度で駆け巡ってきた悦楽を、桜子は口から余さずに放射した。声が聞こえるかもしれないという懸念は、忘却の彼方に押しやられているようだ。
「こ、こっち……! こっちの方がいい……! じ、自分でするより……!」
陰唇の表面を指でなぞり、自分のペースで思い通りに快楽を引き出す自慰の良さと、相手に身を委ねて全てを曝し、固いイチモツで内側を擦られるセックスの良さ…。
「だから……もっと……もっと、してっ!!」
体の相性も良いのだろう。桜子にとって大和とのセックスは、自慰とは比べ物にならない快楽をもたらしてくれる。膣内の粘膜を押し広げ、奥まで入り込んでくる熱い陽芯で胎内を貫かれる度に、光が頭の中を弾けるのだ。
陰陽の接合が起こす強烈なスパーク現象は、単独の電極しか持たない自慰行為では絶対に得られないものであり、それが持つエネルギーの差は雲泥のものとなる。
「が、我慢できなかったの……! ずっと、触ってもらえなくて……! だから……!」
大和の香りを含むタオルに反応して、体内に蓄積された欲求不満が弾けたのだ。
「だから……ひとりで……したのっ……しちゃったのっ!」
ぱちぃん!
「ひぃん! ご、ごめんなさい……!」
尻を叩かれたのは、勝手にタオルを使って自慰をしたことに対する、大和の叱責だと桜子は思った。
「違うよ」
しかし、大和が彼女の尻を打ったのは、純粋にその反応と手触りを愉しみたかっただけであり、自慰をしたことを責めているわけではない。
そもそも、欲求不満にさせたことの方を、自分は省みなければならないと考えている。その行為は逆説的だが、桜子を責め抜いて、前後不覚に至るまで感じさせることが、何よりもの贖罪になるのではないかと、大和は考えていた。
「………」
このまま、背徳的な体勢で桜子を昇天させてもよかった。しかし、不意に大和は、彼女の愉悦に翻弄されている顔が見たくなった。“贖罪”といっておきながら、女の感じる姿を直視したいという男のエゴに、彼は従ったのである。
「桜子」
「あ……あんっ……」
繋がったまま、彼女の身体を半回転させる。足を交差させる時、膣内の粘膜が微妙に狭まり、変化した膣圧によって押し出され、入っていたものが先端まで抜けそうになったが、何とかそれを留めて、繋がったままの状態で彼女を仰臥させた。
「大和……くぅん……」
胸を上下させながら、桜子は荒く甘い呼吸を繰り返している。その度に、自己が納まっている膣内の粘膜が微細にうねり、大和の陽芯にからみついてきた。
「可愛いね」
「んっ……」
丸みのある頬が紅く火照って、とても愛らしかった。唇をそっと寄せ、その頬に触れてみると、焚き火にでもあたった後のような熱量がそこにあった。