『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-174
「ん……くぅっ!!」
中指と薬指を二本合せて、それを大和の陰茎に見立て、桜子は自らの中へ更に深く挿入した。既に操は大和に捧げているから、それに対する逡巡は無い。
(入ってる……あたしの指が……中の、気持ちいいところまで……)
性交を重ねるうちに彼女の性感帯は、少し奥まった部分にも広がりが出てきていたので、その部分を責めるようにして、桜子は自慰にのめりこんでいった。
「あ、あぁ………すぅ……ん……すぅ……大和……大和……くん……っ!!」
自らの指に、大和の熱く燃えたぎる陽根を投影して何度も出し入れする。激しい彼の腰使いを、指の出し入れに重ね合わせ、桜子は卑猥な情念にひたすら耽った。
「あ、あんっ……! くっ……すぅ、すぅ……う、んうっ、んっ、んっ、んん……!!」
繰り返すようであるが、ここが他人の介在する可能性のある部室であることを、桜子は完全に失念していた。
「ん、んあっ……んぅっ……んくっ……うふぅ……」
くちゅ、くちゅ、くちゅ……
にちっ、にちっ、にちっ……
「は……あぁ……ん……。い、いい……きもち、いい……」
他人が介在する場所だと言うことは、誰かがやってくるかもしれないと言うことだ。しかし、その可能性に考えをめぐらせることもなく、桜子はひたすら自慰に熱中している。
(熱くて……あそこ……トロトロになってる……)
だらしなく左右に開いた内陰唇を、人差し指と薬指で更に押し広げてみる。そうして無防備になった敏感な中の粘膜を中指で廻すように弄る。
ごぷっ……
と、熱く潤み柔らかくなった膣内から愛蜜が溢れた。分泌液の粘性が高くなっているのは、うなぎのぼりに上昇した彼女の快楽を表すものである。
「大和くん……あ……んはぁ……大和……くん……」
恋しい人の名を乗せて、桜子は切なげな吐息を何度も零す。タオルにこもるその香りを繰り返し吸い込んで、一心不乱に指を蠢かせる。
「んっ……!」
ぴくんっ! ぴくぴくぴくっっ!
「ひっ、ひぅっ!」
不意に、大きく開いている脚の内股が小刻みに震えた。そして、背筋を走る甘い電流が、加速度的に桜子の脳内に広がって、じわじわと何かが奥からせりあがってくる。
(も、もう……!)
性の果てが、彼女には見えた。膨れ上がってくる風船にも似た感覚が、桜子の満腔をいっぱいにして、意識を白く濁らせていく。
「ん、んぅっ、ふっ、くっ、んくっ、んぅっ、んんっ……!」
くちゅっ、くちゅっくちゅくちゅ!!
「!!」
指を奥の方まで沈めて、粘膜を激しく擦った瞬間、官能が渦を巻いて隆起した。
「イ、イクッ………あ、あっ……!」
こらえようとしても、身体が言うことを聴いてくれない。体中の筋が、バネの仕掛けを巻かれているように突っ張り、強い硬直を起こす。もうここまでくると、昇りつめようとする快楽をコントロールするのは不可能である。
「はぁぅっ……! ん、んむぅぅっ……!!」
弾ける直前、桜子は口元を覆うタオルを口内に含み入れた。あげてしまいそうになる嬌声を抑えるつもりもあるだろうが、なによりも、大和の香りを口いっぱいに頬張りたかった欲望がさせた行為である。
「………!」
びくんっ、と桜子の全身が大きく震えた。果てを越えたのである。
巻かれたバネが、その抑えを失った瞬間のように、桜子の身体は激しく仰け反った。