『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-173
若さゆえに抑えた情欲を持て余すこともあったが、それを我慢すればするほど後の“ご褒美”が凄まじいものになることを知っていたし、また、自慰をしてしまうと、果てた後に激しい寂寥感に苛まれてしまうこともあわせ、思い切って桜子はその間の自慰も自らに禁じた。
試合の前日は、準備もあるので大和の部屋には泊まらず、蓬莱亭に帰るようにしていたが、その時に聞こえてくる隣の部屋からの艶声に誘惑をされても、自慰の欲求をなんとか意志の力で駆逐してきた。
“やりたい盛り”の二人の若さを考えると、なんともストイックな話である。
(もう……もう……我慢できないよ……だって……)
しかし、ブロック戦が終了している今の時期は、任意にセックスを堪能できるはずなのである。実際、夏期休暇に入る直前は完全に同棲状態になって、ほとんど毎夜、官能のひとときを過ごしてきたのだ。
間を空けた後の、骨の髄まで溶かすような凄まじい快楽も良いが、やはり、好きな相手とはいつも一緒にいたいものである。
ところが、夏期休暇に入って間もなく、二人にできた“別の予定(アルバイト)”がいろいろと左右した結果、今回は五日という間隔ができてしまった。
なんとか抑えつけていた桜子の官能は、それゆえに、わずかな刺激を受けただけで身体の奥からマグマのように噴出してきたのである。
「ん、んんっ……んぅ……す……ふぅ……」
タオルに残された大和の香りをたっぷり吸い込んで、それを官能に転化する桜子。いつのまにかその脚は大きく広げられ、愛蜜が滲んだショーツの上で指が躍る様子を、誰に見せると言うわけでもないだろうが無警戒に晒している。
くちゅ、くちゅ、くちゅっ…
「んふっ、ん、んんっ、ん、んんん……」
淫靡な音が部室に響く。それだけ、愛蜜がショーツに沁み込んでいるということであり、桜子が久方ぶりの“性的遊戯”に夢中になっていることを表していた。
(もっと……もっと、触ってよ……)
陰唇をなぞる己の指先に大和の影を映し、その昂ぶりを重ねてゆく。大和のタオルを口元に持ってきたことで理性の抑制を失った今、桜子の身体は、火照るままに淫らな情熱を膣粘膜のありとあらゆるところから迸らせているのだ。
(や、あっ……すごい……溢れてくるよ……)
濡れたショーツに浮かぶ、淫らな唇の形。その淡い陰りと、鮮やかな色合い…。
「ふぅっ、くっ、あ、んふっ……」
すぅ、すぅ、すぅ…
「ふ……う……んん……」
吸い込む息を深くして大和の香りを愉しみ、指先を小刻みに操って、じわじわと湧いてくる快楽をくちゅくちゅと掻き出す。
「ん、んぅっ……!」
たまらなくなって桜子は、ショーツの中に指をもぐりこませて、直に陰唇を弄った。
「んくっ……!」
性に華を開かせた秘裂は、待っていたかのように指先をぬるりと中に迎え入れ、熱くドロドロしたグロテスクな触感を主の指に残した。
その感触が、既に淫猥である。
(だ……だめ……こんなことばっかりして……)
自慰に狂う己への不安が、ふいに頭をよぎる。
「大和、くん……あ、ああっ……大和くん……」
ぐちょ、ぐちゅ、ぐちゅっ、くちゅ…
「んっ! んんっ、んぅっ……!」
それでも、指は止まらなかった。
(欲しい……欲しい……もっと、大和くんが……欲しい……!)
すぅ、すぅ、すぅ……ぐちゅっ!!