『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-172
「ふぅ……ん……」
タオルを口元にあてながら、甘い痺れをまとい始めた胸にも手を伸ばす。
「んっ……んふ……」
サポーターの圧迫感から開放された柔らかい膨らみが、たふたふとたゆたった。
「んっ、く……すぅ……う、ふぅ……」
こもった吐息が、押し当てている大和のタオルに沁みこんでいく。その温もりに触れたことで、染み込んでいる大和の残り香が、さらに強くなった気がした。
むにゅ…
「んっ……!」
少し強く、膨らみを揉んだ。確かな刺激が桜子の全身に散らばって、少しずつ彼女を熱い気持ちにさせていく。
(いつも……。こんな、ふうに……)
大和の指使いを反芻しながら、自らの指で乳房を慰める桜子。大和はよく、乳房の下から押し上げるようにしながら、鷲掴みにしてダイナミックに胸を揉んでくる…。
「んふっ……!」
それと同じように、乳房を揉み抱いた。自分の指が起こす官能でありがなら、大和の愛撫を感じつつ、甘い刺激で自分を慰める桜子である。
「はぁ……あふ……」
茹った頬に、焦点を失いかけている瞳…。間違いなく、発情している。大和の残した香りに、魅了されてしまっている自分がいる。
(こんなところで……)
自分のしていることが、倫理から外れていることはよくわかっている。ここは、双葉大学の軟式野球部が使用している部室であり、淫らな行為をしていい場所ではない。
「んっ……んふっ……んんっ……」
しかし、口元に押し付けたタオルの香気を吸い込むと、桜子の躊躇いは霞の中に消え去った。
「んっ…! くっ…!」
芯が固くなって、存在を主張し始めてきた乳首を軽くつまむ。
乳房を弄んでいる時とは違う鋭敏な刺激が体中を駆け巡り、それは内股の奥にも熱いものを伝導してきた。
じゅ…
と、その熱さが、ショーツに滲んでくるのを桜子は感じる。
(濡れて……きちゃった……)
それを確かめるように、胸の突起を弄りまわしていた右手が降りて、太股を割るように奥まで潜り込ませた。
「んっ……く……」
ショーツの上から秘処に触れた指先は、熱い湿潤に迎えられた。
(やっぱり……濡れちゃってるよ……)
溝を強く押してみると、柔らかい中央部に指先が沈み込む。それぐらい、桜子の秘処は熱く潤んでいた。
「は……あ……んぅ……んん……」
その潤み具合を愉しむように、桜子は中指で秘裂を何度もなぞる。そのたびに、甘い刺激が体中に散らばって、桜子は自慰の愉しみに夢中になっていった。
ここが自分の部屋ではなく、他人も介在する部室であることを彼女は忘れている。
(だって……もう、五日も……)
おあずけの状態が続いているのだ。これだけ間が空いたのは、二人にとっては実に久しぶりであった。
ブロック戦が行われていた期間、大和は、試合のある日が近づいてくると全く手を出してこなくなる。暗に誘いをかけても、少しも応じてくれない。
自分の中でつけた分別がそうさせているのであろうが、セックスの味を知った桜子としてはつれなさを感じずにはいられなかった。気持ちのいいことを抑圧されるのは、非常にストレスが溜まるものだ。
しかし、その分、試合が終わった直後のセックスは、普段からは想像もつかないほど、大和の情欲が燃焼を起こす。その炎に焼かれるようにして、桜子は何度も魂を昇天させられるのだ。その刺激があまりに強すぎて、意識を失うこともあった。
少しの間を空けることで、さらに上級の官能を味わうことが出来ると悟った桜子は、試合前の“据え置き期間”に対して理解を示した。以来、暗黙の了解によって二人は、試合のある五日前には、“据え置き期間”に入るようになっていた。