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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-129

第4話 「ADVANCE 〜前進〜」


 草薙大和と蓬莱桜子が戦力として新たに加わり、指導者に長見エレナを迎えた双葉大学軟式野球部の2部リーグでの戦いは、既に始まりを迎えていた。
 抽選により双葉大学は、決勝トーナメントへの進出をかけて行われるブロック戦の枠組みが“B”となった。ひとつの枠には4つの大学が振り分けられるので、まずは3試合を戦うことになる。
 双葉大学が入ったブロックの顔ぶれは、以下のとおりである。ついでながら、昨季の成績も記しておこう。

【2部リーグBブロック】

 双葉大学  (ブロック戦1位通過・決勝トーナメント優勝)
 國文館大学 (ブロック戦2位通過・決勝トーナメント準決勝敗退)
 関八州大学 (ブロック戦1位通過・決勝トーナメント初戦敗退)
 興栄薬科大学(ブロック戦4位予選敗退)

 リーグ関係者の中では密かに“激戦区”と言われていた。なぜなら、昨季の決勝トーナメントに残った大学が、この中に三つ存在しているからだ。抽選に当たっては、昨季の成績は一切これを加味されないから、こういう現象は起こりうる。
 この時点で、昨年決勝トーナメントに進んだ大学のうち、ひとつの大学はブロック戦で確実に涙を飲むことになると決まった。ちなみに、双葉大学はブロック戦にある大学のいずれとも、昨季は戦っていない。
 双葉大学は、初戦で関八州(かんはっしゅう)大学と対戦する。昨季はブロック戦を1位で通過した相手だから、決して油断はできないだろう。そしてそれは、関八州大学戦だけの話ではない。
 確かに双葉大学は昨季・圧倒的な強さで2部リーグを制したが、それは参加2年目のチームに対するマークの甘さが先にあった。ブロック戦といっても結果的にそれぞれの大学とは1試合しか顔をあわせないわけだから、ほとんど短期決戦に匹敵するものがあり、マークの甘さゆえに思いがけない強さを見せた双葉大学の勢いに戸惑い、あれよあれよと言う間に優勝を浚われてしまったのだ。故に、今年は他の大学も“双葉大学を甘く見る”という二の轍を踏みはしないだろう。
 実力差の激しい2部リーグの中で“強豪”と目されているのは、新進気鋭の双葉大学を除くと、Aブロックに入った“東稜大学”、双葉大学と同じBブロックにいる“國文館大学”と“関八州大学”、Dブロックに廻っている“東都理工大学”である。“四強”として実に二十年近くも2部リーグの優勝を分け合ってきた。
 余談ながら、龍介たちの母校・城南第二大学が最下位になったとき、その入れ替え戦で対戦したのは、東稜大学である。四強の中でもこの大学が、2部リーグの優勝と続く入れ替え戦を戦った回数が多く、“最も1部に近いチーム”と言われて久しい。だが哀しいかな、その悲願は未だに成就されていない。
 双葉大学は昨季の準決勝でその東稜大学と対戦した。その試合はさすがに競ったものとなり、岡崎の攻守に渡る奮迅の活躍がなければ、ひょっとしたら敗れていた可能性もあった。5−2という最終スコアの結果だけを見れば“快勝”に映るが、終盤までは0−2でリードを許していたのだから…。
 ブロック戦が東稜大学と分かれたことは、とりあえずは双葉大学にとっては御の字であろう。雄太たちの悲願である1部昇格を果たす前の厚い壁は、東稜大学になることは間違いない。新しいチームの体勢が整うまでは、対戦を避けたい相手でもあった。



 関八州大学のグラウンドで試合は行われる。先にも述べたが、2部リーグは1部リーグと違い、各大学のグラウンドが試合の会場となる。推進協議会としても、さすがにそこまでは会計を廻しきれないところはあり、また、2部リーグも市営球場で行うと日程の設定が非常に困難になるからだ。
 だが、公式の試合であるということには変わりない。推進協議会から、二人の委員が派遣され、試合の結果を確実に見届けていくことを見ても、2部リーグを軽視していないことがよくわかる。


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