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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-10

「ほんま、あの子は強いわ」
「?」
「桜子ちゃんや。ワイは、感心するで」
 23時を廻った時点で既に互いに風呂も済ませ、あとは寝るだけというところになった夫婦の愉しみは、寝物語がそのひとつである。敷かれていた寝床に先に寝転がった龍介は、鏡台の前で湯上りの髪に櫛を入れている愛妻・由梨の背中に甘い雰囲気を感じながら、それでも話題は家族として愛する妹のことを離れない。
 アキレス腱断裂という大きなケガを背負いながら、そんな障害をあっさりと跳ね除けてしまった桜子。その妹の強さは、本当に感心する。
「あれだけ懸命にしとったバレーボールが、ケガでできんようになってしもうても、前向きに新しいことを始めて……ワイやったら、あんなに簡単に割り切って考えられるやろうか?」
 難しいな、と自分で結論を導く。妹の陽気と前向きさは“天賦の才能”だと、切に思える龍介であった。
「あの子にとって、野球は一番大好きなことだから」
 櫛入れを終えた由梨は、もう一度鏡を覗き込むようにして具合を確かめてから、観音開きのそれを閉じ合わせ、龍介の隣に並ぶ寝床に膝を下ろす。
「龍介さんと一緒に野球が出来るのが、きっと嬉しくてしょうがないんですよ、桜子は」
「そうか……それは、嬉しいで」
 ちら、と隣に目をやった龍介の視線が、妹のはしゃぐ様子でも思い起こしているのか穏やかな笑顔を浮かべている由梨の表情を掴まえた。
「………」
 別に香料を塗したわけでもないのに、彼女の体から甘い香りが漂ってきて、龍介は思わず喉を鳴らす。
「由梨」
「あっ」
 早速とばかりに腕をひいて、自分の側へと引き寄せていた。夫婦の夜の愉しみは、寝物語のほかにもあって、実はこれから始まる睦み合いこそが“真なる悦び”であろう。
「あ、んっ……」
 由梨を胸の下に抱き伏せ、そのまま唇を塞ぐ。瑞々しく潤いのある由梨の唇に触れるだけで、龍介の心には暖かさが生まれ、我が身の幸福を強く感じさせるのだ。
「ん、んん……ん……」
 夫の唇を受け止めて、由梨もまた体内の熱気を高めていく。所帯を持って5年目になるが、これまで何度となく肌を重ねあい蒸すような夜を過ごしてきても、まだまだ燃え尽きる様子も見せない熱情と愛情が、二人には存在していた。
「由梨……」
「龍介、さん……んっ…」
 離れた唇が互いの名前を紡ぎ、そしてまたひとつになる。気持ちもひとつになっているような気がして、心から嬉しい。
「ん、んふっ」
 由梨の喉が、鳴った。体を走った甘い痺れにたまらず、その声帯を震わせたのだ。
 見れば、龍介の右手が乳房を下から揉みあげていた。
「あ、あっ、ああっ……」
 ゆっくりと揉み込まれる乳房。じわり、じわりと湧き上がる官能のうねりが由梨の脳髄を刺激して、その中に霞みをつくり恥じらいを消していった。
(たまらんわ……)
 由梨が身につけている寝巻きは薄手の生地で、膨らみのやわらかさはほとんど直に触っているのと変わらない。むしろ、薄い布地一枚を挟んだことで、その柔らかさが強調されているような気もする。
「あっ……あふっ…りゅ、龍介、さん……ん、んあっ」
 官能に震え、由梨の喉が反った。やはり肌の感触を直に愉しみたくなったのか、腰のあたりから右手を寝巻きの中にもぐりこませると、それを一気に乳房のあたりまで持っていって、龍介は由梨の胸を揉んでいた。
「!」
 身を捩じらせて、由梨が悶える。肌を直に触れられるくすぐったさと、痺れるような愉悦の氾濫に、普段は貞淑でたおやかな由梨もどんどんと淫猥になっていった。
「固くなってきよった」
「そ、それは……」


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