『STRIKE!!』(全9話)-257
|城二大|000|001|020|3|
|櫻陽大|002|000|000|2|
(勝ったんだ……)
現実が、一気に亮の中に流れ込んできた。瞬間、彼は一歩ずつマウンドの輪に向かって、歩を始めた。
「亮」
輪の中心にいた晶が、はちきれんばかりの笑みで出迎えてくれた。その一部はエレナのダイナマイトバストに埋もれていたが。
「晶…」
抱擁魔と化していたエレナから何とか抜け出して、ゆっくりと差し出された華奢な指先。この指が生んだ、優勝を決めたウイニングボールは、ミットの中にしっかりと収まっている。
「?」
亮はそれを取り出すと、晶の指に握らせて…
「あっ……」
そのまま、彼女を胸に抱きしめていた。
「りょ、亮……」
さすがに驚いて、晶が顔を真っ赤にする。しかし、すぐにふたつの腕を彼の背中に回して、自分の全てをその胸に預けた。
(こ、こら、おまいら、こんなところで……)
(壁、壁を作れっ)
うわ、とばかりに周囲に壁ができる。いきなり抱きあった二人の姿を隠すように壁を作り上げたその連携の良さは、優勝したチームにふさわしい息のあった動きであった。
以下に記すのは、城南第二大学の戦跡である。
前期 総合成績【2位】(前期成績2位)
第1試合(対櫻陽大学) 3−4 ×(総合勝点 0)
第2試合(対仁仙大学) 12−0 ○(総合勝点 3)
第3試合(対享和大学) 5−0 ○(総合勝点 6)
第4試合(対法泉印大学)16−0 ○(総合勝点 9)
第5試合(対星海大学) 3−2 ○(総合勝点12)
後期 総合成績【優勝】(後期成績1位)
第1試合(対星海大学) 5−0 ○(総合勝点:15)
第2試合(対法泉印大学) 9−0 ○(総合勝点:18)
第3試合(対享和大学) 8−1 ○(総合勝点:21)
第4試合(対仁仙大学) 11−0 ○(総合勝点:24)
第5試合(対櫻陽大学) 3−2 ○(総合勝点:27)
「おめでとう」
ぱちぱちぱち、と柔らかな拍手がグラウンドの中と観客席から鳴り響く。その中で、優勝チームに送られる優勝旗が、直樹の手に渡されていた。彼は松葉杖をついているから、赤木がその補助をしている。
深々と頭を下げた後、チームが並ぶ場所へ戻ってきた直樹の目には、光るものがあった。