きっと、そうー夢-2
「ねぇ、悠哉?」
「ん?」
もしかしたら、そう思って聞いてみる。
「寝てるとき何か言った?」
・・・・・・・・・。
暫しの沈黙。
あれ?
何も答えない悠哉を不思議に思い、顔を覗き込むようにして見た。
薄暗い保健室でもわかる。
ほんのり顔を赤くした悠哉。
「え?」
「・・・いや!なんでもないから!!」
まだ、「え?」しか言ってない癒芽に向かって全否定。
癒芽は何も知らないので、キョトンとするばかりだが、悠哉の方はまさか
『寝てる間に「好き」って言ってキスした。』
なんて言えるはずがない。
むしろ、「寝てる人になにやってるんだ。」と一気に恥ずかしさが増す。
「どうしたの?」
制服を整えながらベッドから起き上がる。
鞄は、悠哉が持ってきてくれたのだろうか?
隣のベッドの上に置いてある。
「否、なんでもないよ。」
多少落ち着きを取り戻した悠哉は時計を見る。
夜の7時を15分程過ぎたところだ。
もう外も暗い。
一度だけ息を吸い込み、吐く。
愛しいあの子に向かって手を差し出す。
『帰ろう。送るよ。』